マッドネス全開の新作リリースが止まらない!
ジェイムズ・パンツやデイム・ファンクの躍進、ピーナッツ・バター・ウルフのニューウェイヴ回帰(?)もあって、ずいぶんラインナップが多面的になったストーンズ・スロウですが、ここにきて従来的なレーベル・カラーを担っていたマッドリブが獅子奮迅のリリース・ラッシュです。まずは、彼が全面制作したストロング・アーム・ステディの『In Search Of Stoney Jackson』。設立者のイグジビットが去った後もトリオとして活動してきたはずが、今回はミッチー・スリックが客演扱いになり(離脱?)、フィル・ダ・アゴニーとクロンドンの2人が多くのゲスト(タリブ・クウェリ、プラネット・エイジア、ロスコー、シック・ジャックンまで!)を伴って美しいサンプリング・トラックに乗った、最高にソウルフルな逸品となっています。マッドリブ絡みのラップ・アルバムとしても最高レヴェルの内容では?
続いて新シリーズの第1弾らしい『Medicine Show Vol.1』は、先述の『In Search Of Stoney Jackson』にも登場するギルティ・シンプソンと全曲でコラボした一枚。ジェイリブ作品で世に出た縁もあるギルティとは、OJ・シンプソン(……)なるデュオでの作品も予定されているそうです。さらに、イェスタデイズ・ニュー・クィンテットの発展型=ラスト・エレクトロ・アコースティック・スペース・ジャズ&パーカッション・アンサンブルの新作『Miles Away』も良質。表題通り帝王マイルスにインスパイアされた、精神性重視のアフロ・ジャズ盤です。で、ついで(失礼)にマッドさんの実弟オー・ノーが発表した『Ethiopium』もご紹介。エチオ・ジャズやサイケ・ファンクなどのネタをJ・ディラの『Donuts』形式でやりたい放題に調理したビート集……これもジャンキーは必聴ですよ!
▼文中に登場した作品を紹介。
左から、ストロング・アーム・ステディ『In Search Of Stoney Jackson』、マッドリブ『Medicine Show Vol.1』、 ラスト・エレクトロ・アコースティック・スペース・ジャズ&パーカッション・アンサンブル『Miles Away』、オー・ノー『Ethiopium』(すべてStones Throw)