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リクエスト・ライブラリー

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公開
2010/03/19   15:10
更新
2010/03/19   15:22
ソース
intoxicate vol.84 (2010年2月20日発行)
テキスト
text:吉川明利(タワーレコード本社)

多分、第1弾が好評を得たのでしょう、20世紀フォックスのリクエスト・ライブラリーの第2弾が無事発売となりました。その第1弾を振り返り、そして第2弾のラインナップを見ると、本当に映画に対する想いは人それぞれ、また公開された時代に対してのこだわりも様々と再確認できますね。ぜひ、このシリーズは発売が継続されますようにと願わずにはいられません。

さて、肝心の第2弾、最初に発売される2作品はリクエスト1位の『ヤング・ゼネレーション』と3位の『ジュリア』です。この2作品がリクエストランキング上位にいるということは、70年代にこだわっているお客様がいかに多いかが分かります。しかしそれ以上にこの2作品が作られた(1977年から79年)時期の20世紀フォックスが、好調であったかの証明でもあります。すこしだけ作品を紹介すると77年は『ジュリア』の他『愛と喝采の日々』『スターウォーズ』78年が『結婚しない女』そして79年が『ヤング~』の他『ノーマ・レイ』『エイリアン」『オール・ザット・ジャズ』『ローズ』という豪華さです。

もし青春映画ランキングみたいなものがあるとしたら『ヤング~』は上位にくるのでしょう。日本だけでなく本国でも充分愛された映画で、作品、監督をはじめ5部門のオスカー候補となり、オリジナル脚本賞に輝いています。その脚本は、もちろん青春の不安定な時期を見事に描写していますが、作品が愛された最も大きな要因のひとつは<地元の若者>を主人公にした点ではないでしょうか。

4人の若者は大学には行かず、高校卒業後も地元に残っているという設定です。いわゆる親元から旅立つ直前の不安、不満、挫折(恋愛もふくめ)がユニークに描かれています。『ペーパー・チェイス』が描く大学生の青春像とは正反対という面白さですから、2本連続で見比べていただければと思います。また、それまでアメリカ映画ではあまり見かけなかった自転車レースがクライマックスとなっていますから、今ヨーロッパのロードレースを夢中で見ている若い世代にも、絶対受け入れられると確信しています。

『ジュリア』はDVDが発売されてなかったこと自体がおかしいぐらいの名作なので多くは語りませんが、初公開時にはリリアンがジュリアに会いにベルリンへ行く場面の(ナチ台頭の時代が舞台、さらにリリアンはユダヤ人)サスペンスに魅了されっぱなしでした。しかし年月をおいて見直してみると、リリアンの共同生活者であるハメットとの場面の数々のほうに魅かれてしまったことだけは記しておきたいですね。映画とは自分が見る年齢によって印象がこれほど変わるのかと驚きでした。ハメットを演じたジェイソン・ロバーズは前年の『大統領の陰謀』に続いて2連連続アカデミー助演男優賞(ノミネート自体は9部門)の快挙。オスカー受賞は逃したものの、ダグラス・スローカムの撮影とジョルジュ・ドリューの音楽がもしなかったら、いかに名匠フレッド・ジンネマンの演出をもってしても『ジュリア』は名作とはならなかったのでは、と言えるぐらい素晴らしい!