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第10回――公平でいられるはずがない(ホーム・コンサートでウクライナ人の演奏を聴いて)

連載
KOHOLO
公開
2010/05/23   19:20
更新
2010/06/09   21:24
ソース
bounce 320号 (2010年4月25日発行)
テキスト
詩・アートワーク/青柳拓次

 

二階から かがやく黒い革ぐつが

おりてくる

 

ギターに覆いかぶさる大きな胴体

 

二重三重に六弦がゆれる

そうだろ そうだろと

 

大きな顔

うすめたワイン色に

 

じきに

もうすぐ

あと少しで

蝶ネクタイが弾け飛ぶだろう

 

何十もの顔が

もっと耳のラッパを拡げたいと

うったえる

 

すると ゆっくり

天がおりてくる

日本の家に

 

わたしより数年みじかい

ウクライナの誠実な道のり

きみにフェアでいられるはずがない

 

わたしは舞台袖で

日々のコードを記そう

 

平行な時間をすごして

 

PROFILE/青柳拓次

サウンド、ヴィジュアル、テキストを使い、世界中で制作を行うアート・アーティスト。LITTLE CREATURESやKAMA AINA、TAKU & GOROで活動。LITTLE CREATURESのライヴDVD「NIGHT PEOPLE REVIEW」(CHORDIARY)も好評リリース中。現在7月発表予定のソロ・アルバムを制作中! 最新情報は、〈tone.jp/artists/aoyagitakuji/〉へ!