歴史に残る数々のPV製作秘話がたっぷり聞けるドキュメンタリーDVDが登場です!
80年代のMTV全盛期を牽引したビデオ監督たちに焦点を当てたイギリスのTV番組から、3人をピックアップしてDVD化された〈VIDEO KILLED THE RADIO STAR 伝説のビデオ・メイカー〉シリーズがヒジョーに興味深い。監督本人とミュージシャンたちのインタヴューを中心に、当時の撮影秘話が事細かに紐解かれていく。
まず1本目はPV製作の開拓者的存在であり、後に映画監督としても大成するラッセル・マルケイ。ミュージック・ビデオ時代の到来を告げたバグルス“Video Killed The Radio Star”を筆頭に、ハリウッド映画さながらの凝りに凝った映像が作られていく過程からは、当時の熱気と冒険心が垣間見えて実にスリリングである。そして、撮影現場でもミュージシャンらの意見も尊重しながら作業を進めていく2本目のデヴィッド・マレットは、〈俺の映像ありき〉感のあるマルケイとは真逆のタイプだ。クイーンやデヴィッド・ボウイなど大御所との仕事も見逃せないが、ブームタウン・ラッツの“I Don't Like Mondays”を巡るボブ・ゲルドフとの対談が和気藹々としていて印象に残る。最後は3本目のウェイン・アイシャム。前2者よりもやや若く、みずからを〈ロック野郎〉と語る彼の映像は、独特のライヴ感とアメリカ人らしいドライさが魅力だ。メタリカやモトリー・クルーなどメタル・バンドとの仕事が多いのも頷ける。オジー・オズボーンが教会で豚と戯れる“Miracle Man”の裏話が最高におもしろい。なお、全3作品それぞれには特典として未公開のロング・インタヴューが追加され、さらに大量のPVがフルサイズで収録されているのも嬉しい限りだ。
▼〈VIDEO KILLED THE RADIO STAR 伝説のビデオ・メイカー 〉シリーズを紹介。
左から、〈ラッセル・マルケイ編〉〈デヴィッド・マレット編〉〈ウェイン・アイシャム編〉(すべてキング)。ボックス・セットもあり