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SOUL BREEZE

連載
NEW OPUSコラム
公開
2010/07/14   17:20
更新
2010/07/14   17:21
ソース
bounce 322号 (2010年6月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次

 

梅雨明けが待ち遠しいソウルの季節風

 

今月はソウル連載がお休みなので、ここで注目のリイシュー・タイトルを紹介します。まずはジョン・ルシエンに注目で、75年の『Song For My Lady』と76年の『Premonition』がいずれも世界初CD化。包容力と優しさの滲む歌声とジャズに由来するオーガニックな雰囲気はビル・ウィザーズやブッカーTにも通じるもの。何とも言えない温かみに浸れますよ。初CD化モノだと、ラベルの73年作『Pressure Cookin'』も目玉です。“Lady Marmalade”でブレイクする前年に出ていた地味盤ながら、スティーヴィー・ワンダーもこっそり参加。ダスティ・スプリングフィールドで知られるヴィック・ウィッカム制作ってことで、そっち系の人もぜひ!

さらに注目なのは、サテントーンズの編集盤『Sing!: The Complete Tamla And Motown Singles...Plus』でしょう。モータウン勃興期に多くの録音を残しながらもアルバムがお蔵入りして消えていったグループですが、ここではメンバーのソロ曲なども交えながら、ドゥワップ色も濃い実力の程を思い知らせてくれます。で、そのレーベルメイトでもあったコントゥアーズにはレア&未発表音源集『I'm A Winner: The Albuquerque Sessions 1978-79』が、デトロイト・ソウルの穴を奥へ奥へと掘り進めるアウタ・サイト経由で登場しています。60年代に一世を風靡した名グループの後日譚という体裁はマニアックすぎるけど最高! ってことで、モータウン産品も日々更新されていて、スモーキー・ロビンソン脱退後のミラクルズが放ったディスコ佳作『City Of Angels』の初CD化や、初期リック・ジェイムズのノリまくった『Fire It Up』と『Garden Of Love』なんてのも続々と……スペースも財布の中身も足りないよ!

 

▼文中に登場した作品を紹介。

左から、ジョン・ルシエンの76年作『Premonition』(Columbia/ソニー)、ラベルの73年作『Pressure Cookin'』(RCA/Reel Music)、サテントーンズの編集盤『Sing!: The Complete Tamla And Motown Singles...Plus』(Ace)、コントゥアーズの編集盤『I'm A Winner: The Albuquerque Sessions 1978-79』(Outta Sight/MAGNUM CAT)、ミラクルズの75年作『City Of Angels』、リック・ジェイムズの80年作『Garden Of Love』(共にMotown/Hip-O Select)

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