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NEW OPUSコラム
公開
2010/07/16   13:16
更新
2010/07/16   13:17
ソース
bounce 322号 (2010年6月25日発行)
テキスト
文/村上ひさし

 

ブロック・パーティーの今後を占う、超重要なそれぞれのサイド・プロジェクト!

 

BLOC PARTY_ソロA

 

活動休止状態に入ったブロック・パーティー。その中心メンバー2人が揃ってソロ・プロジェクトを立ち上げた。

まずは初のソロ・アルバム『The Boxer』でリングに躍り出た、フロントマンのケリー・オケレケ君。以前から彼が傾倒していたクラブ・ミュージックへの愛情をストレートにぶつけたインディー・ダンス・アルバムとなっている。ギターをサンプラーに持ち替えた本作、コンソールでジョイスティックを握るのはスパンク・ロックのトラックメイカーである奇才アルマーニ・ トリプルエクスチェンジだ。アマンダ・ブランクやキッド・シスター、キルズなどの作品で変化球を投げてきたそのトリプルエクスチェンジが、相変わらず粗削りでプリミティヴな、尖ったトラックを提供している。そこにオケレケ君が悩ましいヴォーカルを被せるのだが、躍動感はあれど湿り気たっぷり。改めて悩める男子なのだな〜と痛感させられる。

そんなオケレケ君がスミスにおけるモリッシーだとすれば、ブロック・パーティーでのジョニー・マー的な位置付けと考えて良さそうなのがギタリストのラッセル・リサック君だろう。彼がNYの女性シンガー・ソングライター、ミレーナ・マーフィスと共にピン・ミー・ダウンというバンドを結成、バンド名を冠したアルバム『Pin Me Down』を発表した。こちらはルックス同様キュートなミレーナ嬢の歌声が、小気味良いギターのリフと絡まりながらビュンビュン疾走するギター・ポップ集。実は彼がブロック・パーティーのサウンド面における中枢だったと窺わせるソレ風な展開もあちこちで飛び出すし、J-Popばりにわかりやすい曲も多数。

というわけで、自分たちのやりたい音楽に向かって忠実に振り切った2枚のアルバム。どちらも地元ロンドンではなく、NYの人材と合体しているのは偶然だろうか。

 

▼ブロック・パーティーのメンバーによるサイド・プロジェクトの作品を紹介。

左から、ケリー・オケレケのニュー・アルバム『The Boxer』(Wichita/Co-op/HOSTESS)、ピン・ミー・ダウンのニュー・アルバム『Pin Me Down』(Animalized/HOSTESS)

 

▼関連盤を紹介。

左から、ブロック・パーティーの2005年作『Silent Alarm』、同2006年作『A Weekend In The City』、同2008年作『Intimacy』(すべてWichita/Co-op)、スパンク・ロックの2006年作『Yoyoyoyoyo』(Big Dada)

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