『Rainbow Children』 NPG/ビクター(2001)
メジャー発の前作『Rave Un2 The Joy Fantastic』(99年)ではいつになく時流を意識したプロダクションも見受けられたが、自主リリースに戻った本作では、ディアンジェロやビラルといった後進のリスペクトにも突き動かされたと見えて生音路線に回帰。ナジーも擁するホーン隊を強調したジャジーで厚みのあるサウンドが、スピリチュアルな歌世界も相まって不思議な後味を残す。
『N.E.W.S』 NPG/ビクター(2003)
サイト会員限定の配信アルバム3作や3枚組のライヴ盤を挿んで登場した、長尺インスト4曲入りのアルバム。即興で1日で録られたジャム作品ながらも 難解さは皆無で、エリック・リーズの参加もあってか往年のマッドハウスを連想させるジャジーな展開にワクワクさせられる。ファンキーにグルーヴを拡張して いく“West”が非常に格好良い。
『Musicology』 NPG/Columbia(2004)
グラミー授賞式におけるビヨンセとの共演で話題を呼び、限定配信アルバム2枚のリリースに続いて登場したメジャー流通作。ファンキーな音楽讃歌の表題曲をはじめ、アラブ人差別を糾弾したドライヴィンなロック・チューン“Cinnamon Girl”、インティメイトなスロウ“Call My Name”など粒よりの楽曲をズラリと並べ、13年ぶりに全米TOP3に返り咲いて商業的にも復権してみせた。シーラ・Eやクレア・フィッシャーの参加もオールド・ファン泣かせだろう。
『3121』 NPG/Universal(2006)
前作の〈復活ムード〉をそのままキープし、『Batman』(89年)以来17年ぶりに全米No.1を獲得したヒット作。表題曲には初期NPGのリズム隊を招集し、配信作『The Chocolate Invasion』から流用した“Tha Dance”など成り立ちは多様だが、“Black Sweat”などのソリッドな密室ファンク感で全編が貫かれ、うっすら漂うヨーロピアン趣味も含めて『Parade』を連想させる。 “Beautiful, Loved And Blessed”で抜擢されたテイマーのアルバムがお蔵入りしたのは無念。
『Planet Earth』 NPG/Columbia(2007)
UKでThe Mail On Sunday紙の付録としてリリ−スされたことも賛否を招いた一枚。内容自体はNPGっぽさにレヴォリューション風味が巧く混合され、新恋人のブリア・ヴァレンティから旧知のウェンディ&リサまでを招いた開放的な作りだ。表題そのままに鮮烈なロック・チューン“Guitar”、マーヴァ・キングの歌もパワフルなファンク“Chelsea Rodgers”など全編がキャッチー!
『Lotusflow3r/MPLSound/Elixer』 NPG(2009)
USのチェーン店・ターゲットの独占流通でまたも話題となった3枚組、というか3作セット(それでも全米2位をマーク!)。ギターの活躍するブルージーなファンク・ロック主体の『Lotusflow3r』も、殿下の寵愛を受けるブリアの処女作『Elixer』もそれぞれ聴きどころは多いが、最注目は2枚目の『MPLSound』。ドリームらの多用に触発されてか80sテイストのファンク・ドラムが弾けるポップな仕上がりは、『20Ten』にも直結するものだろう。