AMUSEMENT PARKS ON FIRE
〈ドリーミー〉一辺倒じゃない、骨太なサウンドと共に……
2004年の登場時から〈ポスト・マイブラの最右翼〉として注目を集めていた、UKはノッティンガム在住のマイケル・フィーリック率いるアミューズメント・パークス・オン・ファイア。完成まで4年の月日をかけたサード・アルバム『Road Eyes』(Pavillion Of The Dead/YOSHIMOTO R and C)は、完璧主義者・フィーリックのこだわりが細部にまで行き渡っている。緻密にミックスされたサウンドの壮大なスケール感や、考え抜かれたメロディー、アルバム全体を貫く熱いエモーションなど、ここにはロックンロールのダイナミズムが力強く脈打っているのだ。シューゲイザーがドリーム・ポップ化していくなかで、ストイックにマイブラ道を貫いた渾身の仕上がり。
THE DEPRECIATION GUILD
テレフォン・テル・アヴィヴのジョシュアに共同プロデュースを依頼して……
ブルックリンに住む3人組で、そのうち2人がペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートのメンバーとしても活動している彼ら。セカンド・アルバム『Spirit Youth』(Kanine/Fastcut)は、ツイン・ギターが生み出すギター・サウンドとエレクトロニックな音色がポップに融合している。深いリヴァーブの向こうから漂ってくるメロディーが美しく、まるで夢のなかに迷い込んだような浮遊感が心地良い。80s風の煌びやかなロマンティシズムを感じさせるサウンドのなかで、ウィスパー・ヴォイスが優しくはにかんでいる。
WILD NOTHING
グローファイな匂いも漂わせながら……
ヴァージニア出身、ジャック・テイタムのソロ・ユニットがこのワイルド・ナッシング(上の写真はツアー・メンバーと撮ったもの)。ジャックがひとりベッドルームで作り上げたファースト・アルバム『Gemini』(Captured Tracks/Fastcut)は、ポケット・サイズのシューゲイザー・ポップといった趣で、ノスタルジックなシンセの音色がグローファイっぽい雰囲気を感じさせる。そんななか、ジョニー・マー直系のギター・フレーズが隠し味だ。
NO AGE
美麗なノイズとガレージ・ロックが出会ってしまった瞬間……
アート・シーンとも深く関わり、ニューヨーク近代美術館でライヴを披露するなど、音楽のフィールドを越えて幅広い活動を展開してきたLAの2人組、ノー・エイジ。前作『Nouns』で大きな注目を集めた彼らのニュー・アルバム『Everything In Between』(Sub Pop/Pヴァイン)は、持ち前の実験性とパンクの精神がバランス良くブレンドされている。その乾いた轟音ギターからはシューゲイザーの他にも西海岸ハードコアのDNAを感じさせつつ、ノイズに対するクールな距離感がイマっぽい。アンビエントやミニマルな要素を交えたポスト・ロック的なセンスを匂わせながら、ロックンロール本来の荒々しさとポップさが際立っているのが魅力だろう。