脳がシェイクされるような混沌と濃密な音の応酬にノックアウト!
〈どっちでもいい〉とか〈まあまあ〉といったどっちつかずの態度を許さない音楽、聴いている者にはっきりとした主張を求める音楽。日本におけるその最右翼のひとつが、この狂うクルーだろう。そう、このバンドの楽曲を聴いて、〈そこそこいい〉なんて反応はあり得ないのだ。
現在のメンバーはムラタ(ギター)、サトカタ(ベース)、イワモーター(ドラムス)、アックン(サックス)の4名。2008年にファースト・アルバム『バトル・ディスコ』がリリースされた際は、パンクやノイズ、スカム、ノーウェイヴ、ジャーマン・ロック、フリー・ジャズ……といったさまざまなキーワードで紹介されてきたが、そのどれもが正しく、一方でそのどれをもってしても足りないといったジレンマを痛感したものだった。だが、2年ぶりとなる新作『grind mirror ball』に至っては、ますますそのカオティックな求心力に拍車がかかっており、もはやメロディーもビートも、高音も低音も、静も動も、怒りも喜びも、とにかくすべてがいっしょくたになって新しい価値観を提示するようになっている。なのに、〈何でもあり〉〈ゴッタ煮〉的ないい加減さは一切なく、徹底的に白か黒かを突き付けてくるのみだ。インキャパシタンツ、ビンゴ(54-71)もゲスト参加。もはやこれは哲学だ。そこに賛同するか否かはあなた次第。
▼関連盤を紹介。
狂うクルーの2008年作『バトル・ディスコ』(Pヴァイン)