ICE CUBE
濃密なウェストコーストの真髄を味わえ!!
「ニュー・アルバムのタイトルは『I Am The West』。俺の音楽を表すのに完璧なタイトルであり、これぞ西海岸ギャングスタ・ラップと言えるものだ」——今年初頭、みずからのブログで〈ウェッサイ復権〉を高らかに宣言したアイス・キューブ注目の新作がようやく到着。前作『Raw Footage』でも自身のルーツを再確認するような曲を披露していたキューブだが、“Life In California”“Too West Coast”“I Rep That West”といった曲名を見ての通り、今回はその表現もよりストレートだ。そんな真摯な西海岸愛と高い問題意識に溢れた楽曲が並ぶなか、バングラデシュ制作の“She Couldn't Make It On Her Own”で息子と共にトレンドのビートに挑んでいるあたりもアルバムの好感度を高めている。このマッシヴさこそがキューブの本分! *高橋芳朗
PIMP C
ついにラスト・アルバムが到着……
2007年の逝去後も、有終の美を飾ったUGKの最終作『UGK 4 Life』や相棒バン・Bのソロ作などでその声を聴くことができたピンプCだが、ソロ契約していたラップ・ア・ロットからの遺作がついにリリース。そのUGK作と同様、今作でも故人の遺志を受け継ぐように、近しかったコリー・モーやスティーヴ・ビロウ、DJビー・ドゥーら〈わかってる〉面々が中心となって制作にあたり、そのコリーの手掛けたオープナー“Down 4 Mine”を筆頭にファンならばグッとくるポイントが多い。また、逝去以降に頭角を現したボーイ・ワンダーとドレイク(&バン)との“What Up?”のような違和感のない(疑似)コラボもあり、感傷的に〈遺作〉としてではなく純然たる〈新作〉として楽しむのがベターだろう。*升本 徹
▼関連盤を紹介。
バン・Bの2010年作『Trill O.G.』(Rap-A-Lot)
DORROUGH
まだまだデカくなるダラスのアップカマー!!
各地から豪華メンツを招いたリミックスも大いに話題となった“Ice Cream Paint Job”でみずからがブレイクしただけでなく、ふたたびダラスのシーンへ目を向けるキッカケも作ったドロウ。前作以降もストリート・レヴェルでの客演やミックステープ・リリースなど話題を途切れさせることなく、短いスパンで2作目『Get Big』を放った! ここからもニッティ作のタイトル曲やDJトゥーンプ製の“Hell Of A Night”と、アトランタの大物プロデューサーとの合体を先行カットして効果的なバズを生んでいるが、アルバム全体ではポップ・ヒットも狙えそうなレイJ参加の“Breakfast In Bed”やヨー・ゴッティとのドープなコラボなどグッと幅広い層をターゲットにした感もあり、フッドスターからサウスのニュー・スターへ、着実にステップアップしている。*升本 徹