懐も寒くなる冬本番。まずは、本文を読むと超だめんずに思えるデヴィッド・ラフィンと、テンプス時代の盟友エディ・ケンドリックスとのタッグ盤『Ruffin & Kendrick』(RCA/Superbird)から。クール&ザ・ギャングやジミー・クリフを手掛けたジム・ボネフォンドが87年作らしい軽めの打ち込みでポップな疑似ノーザンやレゲエを仕立て、ジーン・マクファデンも直球の80sダンサーを披露。主役2名にとって最後のアルバムという以上の意味合いが感じられます。
そんな2人の古巣からは、蔵出し音源集の第4弾『A Cellarful Of Motown! Volume 4』(Motown)も到着。今回も陽の目を見なかった名曲や名唱を堪能しながらモータウン幻想が膨らむこと請け合いですね。モータウンものではスモーキー・ロビンソンの復刻シリーズ『The Solo Albums: Volume 2』(Hip-O Select)も重要。75年作『A Quiet Storm』と76年作『Smokey's Family Robinson』の2in1で、No.1ヒット“Baby That's Backatcha”や〈クワイエット・ストーム〉の語源となった表題曲で著名な前者、珍しくファンキーな側面を垣間見せる後者、どっちも繊細な洗練味が最高です。で、その流れでチェックしたい書籍が、名曲のエピソードや裏話をまとめた「モータウン 永遠の100曲」(ブルース・インターアクションズ)。もちろんタミー・テレルも登場します!
スペースがないですが……ウェスト・コースト・リヴァイヴァルの77年作『West Coast Revival』(L.A. International/ヴィヴィド)は注目の世界初CD化。レア・グルーヴ的な定評のある一枚ながら、このレイドバック感は西海岸AOR好きにも推薦したいです。そして、最後のオススメは“T.S.O.P.”も入ったスリー・ディグリーズ絶頂期の75年作『International』(Philadelphia International/BBR)。〈世界の恋人〉という邦題通りに当時録られた日本語&フランス語曲がまとめて聴けるのも親切。筒見京平の“にがい涙”などが普通にお茶の間進出していた事実にブッ飛んだり、K DUB先生のネタが飛び出したり……。
▼文中に登場した作品を紹介。
左から、ラフィン&ケンドリックスの87年作『Ruffin & Kendrick』(RCA/Superbird)、コンピ盤『A Cellarful Of Motown! Volume 4』(Motown)、スモーキー・ロビンソンの音源集『The Solo Albums: Volume 2』(Hip-O Select)、書籍「モータウン 永遠の100曲」(ブルース・インターアクションズ)、ウェスト・コースト・リヴァイヴァルの77年作『West Coast Revival』(L.A. International/ヴィヴィド)、スリー・ディグリーズの75年作『International』(Philadelphia International/BBR)