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第51回――ティーナ・マリーを悼む

五月病になれないリイシュー

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2011/05/25   00:00
更新
2011/05/25   00:00
ソース
bounce 331号 (2011年4月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次

 

リイシューもいろいろあります。まずはミュージカル「Hair」などで活躍したNYの実力派シンガー、タタ・ヴェガが76年に発表した処女作『Full Speed Ahead: Expanded Edition』(Motown/SoulMusic.com:1)の世界初CD化から。ジャケは少しアレですが中身はライトなディスコ感覚に溢れた好盤で、このページ的にはデビュー前のティーナ・マリーが“Just As Long As There Is You”のソングライトに携わっているのもポイント。数年前に日本主導で復刻された次作『Totally Tata』(77年)もボートラ入りで同発されています。

で、ティーナ繋がりでは、左頁にあるように彼女が“My Dear Mr. Gaye”を捧げたマーヴィン・ゲイのCBS時代3作も紙ジャケで再登場です。82年の遺作『Midnight Love』は説明不要でしょうが、スルーされがちな85年の没後作『Dream Of A Lifetime』(Columbia/ソニー:2)などは晩年の性聖一体ファンク路線の結晶として、もう少し評価されてほしいです。また、そのマーヴィンの後見でデビューし、グループ名に反してオリジナル作のCD化が皆無だったオリジナルズの75年作『California Sunset』(Motown/BBR:3)の世界初CD化も嬉しい! ラモン・ドジャーがデニス・コフィ(→P45)らを従えて作ったインヴィクタス作法の一作であります。

それと同時期の西海岸モータウンものでは、ウィリー・ハッチの比較的無名な3タイトルが初CD化。ひとまずはスリー6マフィア“Stay Fly”でネタ使いされた“Tell Me Why Has Our Love Turned Cold”収録の73年作『Fully Exposed』(Motown/Soul Brother:4)を推薦しておきます。最後はそのハッチの60年代音源も含むコンピ『RCA Victor A Northern Soul Legacy』(Outta Sight:5)を。表題そのままRCAに残された60年代中盤〜70年代のノーザン〜モダン・ソウルをコンパイルしたもので、アウタ・サイト発らしくレアな楽曲も盛り込まれていますよ!

 

▼文中で紹介した作品

左から、タタ・ヴェガの76年『Full Speed Ahead: Expanded Edition』(1)、マーヴィン・ゲイの85年の没後作『Dream Of A Lifetime』(2)、オリジナルズの75年作『California Sunset』(3)、ウィリー・ハッチ73年作『Fully Exposed』(4)、コンピ『RCA Victor A Northern Soul Legacy』(5)

 

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