RADIOHEAD 『In Rainbows』 Xurbia_Xendless(2007)
リスナーが任意で価格を決められるという売り方についてのみ語られすぎたきらいはあるものの、サウンド・アプローチ的にはごく真っ当な深化を遂げたレディオヘッド・サウンドという印象。ごく自然にエレクトロニクスを馴染ませた音像で、10年来の冒険にケリを付けた快作。
JONNY GREENWOOD 『Norwegian Wood』 Nonesuch(2010)
ジョニーの3作目は引き続きサントラで、しかもトラン・アン・ユン監督作「ノルウェイの森」とは。クラシック音楽の素養を活かした優美で純文学的(?)なストリングス主体の音世界は、映像美を評価された本編に相応しい。“Bring Me Coffee Or Tea”などカンの曲も収録。
THOM YORKE 『The Eraser Rmxs』 XL(2008)
ブリアルにヴァリアス、フォー・テットといったキャッチーな名前がトムの趣味志向を明解に反映するソロ作のリミキシーズ。いずれもヘヴィーかつアトモスフェリックな雰囲気が重視されていて、閑寂枯淡ヴォイスがバグの簡素なビートに浮かぶ“Harrowdown Hill”はとりわけ素晴らしい。
PHILIP SELWAY 『Familial』 Bella Union(2010)
レディオヘッドから3人目のソロ進出となった、ドラマーのフィル・セルウェイによる初作。本隊ではあまり発揮されない部分としてヴォーカルもみずか ら担当し、ひとりのシンガー・ソングライターとしてのポテンシャルを存分に発揮している。トムとはまた異なる内省の色合いが魅力的だ。
MODESELEKTOR 『Hello Mom!』 Bpitch Control(2005)
トム・ヨークのお気に入りということで注目を集め、この後には実際に“The White Flash”(2007年)でトムとコラボレートしたり、ソロ曲のリミックスを依頼されるまでに至った猿コンビ。先日LAの〈Low End Theory〉にDJ出演したトムがプレイした“Kill Bill Vol. 4”は本作でチェックを。
FLYING LOTUS 『Cosmogramma』 Warp(2010)
フライング・ロータス側からのアプローチによって実現したというトムとのコラボ曲“...And The World Laughs With You”を収録。さんざめくシンセと電子音の揺らめきに、きれぎれになって幻惑的に響く歌声が非常に印象的だ。互いにとって大きなステップアップとなった一曲だろう。