トリビュート盤に帝王への愛を込めて……
マイルス・デイヴィス没後20年を迎える今年、夏から秋にかけてリイシュー企画も続々と組まれているようですが、ここではそれより一足先に到着したトリビュート盤を紹介しましょう。まずは、86年作『Tutu』を手掛けたマーカス・ミラーによる、トランぺッターのクリスチャン・スコットを連れ添ってのライヴ再現盤『Tutu Revisited』。あっさりしたスコットのソロに賛否はありそうですが、そのぶんリーダーが得意のピッキングを駆使したグルーヴィーなベース演奏が楽しめ、『Tutu』の新たな魅力を発見できます。ちなみに、晩年のマイルスの愛奏曲でもあったマイケル・ジャクソン“Human Nature”をアンコールで披露するなんてサプライズも!
続いては、NYの大学教授・ジェレミー・テイラーがジャマイカのミュージシャン(クレジットは不明)を集めて81年に録音するも、そのままお蔵入りになっていた『Reggae Interpretation Of Kind Of Blue』。レゲエ特有の跳ねたビートを得て、モード・ジャズのクラシックが躍動的に生まれ変わっているんですが、何でも各曲のダブをブルワッキーが手掛けているとかで! 過剰に飾り立てるのではなく、ストイックに音を抜いていく当時のNYらしいダブワイズを体験できるという意味でも貴重な作品ですよ。
▼文中に登場した作品
左から、マーカス・ミラーのニュー・アルバム『Tribute To Miles Davis』(3 Deuces/ビクター)、ジェイミー・テイラーの81年作『Reggae Interpretation Of Kind Of Blue』(Secret Stash/ZOUNDS!)