エミネムとロイス・ダ・5'9"とが結成した、デトロイト最強のMCデュオがリユニオン!!
知名度や実績に差はあるものの、バッド・ミーツ・イヴィルは決してエミネム主導の企画ではなく、彼とロイス・ダ5'9"のコンビである。互いの無名時代にデトロイトで出会った両者は、エムのメジャー初作でその名も“Bad Meets Evil”を録音し、“Nuttin' To Do/Scary Movies”もリリース。その好評を受けてロイスもコロムビアと契約……と両者の縁は続いていくが、ロイスとD12構成員とのビーフからコンビは自然消滅してしまう。
以降、独自の道でコアな評価を高めたロイスは、2008年にジョー・バドゥンらとスローターハウスを結成。前後して和解も済ませたことで、グループの初作『Slaughterhouse』にはD12からMrポーターの参加も見られた。で、スローターハウスのシェイディ入りを受けて唐突に発表されたのが、バッド・ミーツ・イヴィルのリユニオン作『Hell: The Sequel』だ。ブルーノ・マーズら一部のゲストを除けば、ほぼ1対1の構成は非常にシンプル。クールな熱を帯びるロイスに触発され、活き活きとラップに没頭していくエムの姿が印象的で、今後の展開にも期待したい。*轟ひろみ
▼文中に登場した作品
左から、エミネムの99年作『The Slim Shady LP』(Aftermath/Interscope)、スローターハウスの2009年作『Slaughterhouse』(eOne)
ロイス・ダ・5'9"の活躍も知ろう!
『Rock City Version 2.0』 eOne(2002)
当初コロムビアから出たものの、すぐに出し直されたソロ・デビュー作。DJプレミア制作の“Boom”がヒットしたほか、エミネムやネプチューンズ、トラックマスターズらが関与した華やかな内容に。*狛犬
『Death Is Certain』 eOne(2004)
D12との不和を経ての2作目。ヒットメンのカーロス・ブロディを中心に引き続きプレミアらが関与したシブい作りながら、ロイス本来の突貫マイク野郎な表情が前に出てきているのは魅力的だ。*狛犬
『M.I.C.: Make It Count』 M.I.C./eOne(2004)
トレ・リトルやカッティ・マックなど、自身の見い出した若手たちをM.I.C.なるクルーで束ねた一枚。ストリート・アルバム的な体裁に相応しく、粗削りな熱量の高さは十分に伝わってくる。*狛犬
『Independent's Day』 M.I.C./Trouble(2005)
レーベルを移っての3作目。カーロス・ブロディらによるビートが全体的にサウス寄りになったことも作用してか、シー・ローやヨー・ゴッティらまったくタイプの異なるゲストとの絡みがおもしろい。*狛犬
『Street Hop』 M.I.C./One(2009)
膨大なミックステープ群を経ての4作目。スローターハウスの仲間はもちろん、エミネム陣営からもMrポーターやトリック・トリックが参加。ノッツやイマイルらのビートもあって振り幅の広い佳作に仕上がっている。*狛犬