ナオト・インティライミ 前夜祭「ナオトの部屋」
ゲスト:KAN/ゴスペラーズ
2011年7月9日@両国国技館
セカンド・アルバム『ADVENTURE』のリリースに伴って行われたナオト・インティライミのツアー〈TOUR 2011 ADVENTURE 〜時はナオト大公開時代〜〉。千秋楽を翌日に控えた7 月9日は梅雨明けが宣言されたばかりで、外はピーカンのお天気というまさにナオト日和。その日、両国国技館では〈ナオトの土俵〉ならぬ〈ナオトの部屋〉が組まれていた。前夜祭と称されたこの特別編、ナオト・ファンにはおなじみの企画である。彼と縁のあるゲストを迎え、歌あり、トークあり、コントありといったステージを展開する娯楽色豊かなイヴェント。それを大相撲の聖地でやっちゃうってことがなんだかおかしい。こちらは桝席であぐらをかいて、ナオトが部屋に戻るのを待った。
リヴィングを模した舞台には、ソファーやテーブル、さまざまな楽器などが並んでいる。そこにひとり芝居をしながら、ナオトが登場。われわれ観客は一応ご近所さんとして扱われるが、基本はひとり言を喋り続ける彼を覗いている状態だ。明日のライヴで披露するかもしれない曲をリハするということで、ギターを持って《今のキミを忘れない》、ウクレレに変えて《ちょっとした恋の唄》などが歌われていくが、普段着感覚な彼のパフォーマンスに観察を続けるわれわれの気分もかなりリラックスさせてもらった。
そこに〈ピンポ〜ン〉と、『さんまのまんま』のようなチャイムの音が。一組目のお客は、ゴスペラーズだった。彼らは同じ建物に住むご近所さんという体で登場。ナオトと酒井雄二の顔がソックリだということ仕組まれたネタ、照明が落ちた際にふたりが入れ替わって演技を続けるというコントはかなりウケた。気になる両者によるセッションだが、ベン・Eキングの《Stand By Me》では客席を巻き込 んでの大合唱を展開し、大いに盛り上がる。“今のキミを忘れない”やゴスペラーズの名バラード“ひとり”などでの鮮やかなコラボには会場中がため息を漏らした。
二組目のお客は、KAN。彼もご近所さんのひとりだが、相撲の行司の格好をしている。お見事である。ふたりのデュエットでの《愛は勝つ》があれば、ナオトのギターを交えながら“ときどき雲と話をしよう”も披露されたりして見どころは多かったが、〈KANナオト〉なるユニットを組むことを宣言して即興の曲作りに着手、試行錯誤の末に《あとは流れで》なるバラードを誕生させたのだが、これがとっても良い曲だった。アルバム『友達以上恋人未満』のプランも発表されたし、辞任に追い込まれる前までにぜひ世に送り出してもらいたいものだ。
幕間にバックに子供たちを従えた“おまかせピーターパン”があるなど夏祭り的なプログラムも用意されており、国技館が熱気に包まれる場面も随所に登場。とにかくナオト・インティライミのエンターテイナーぶりをすっかり堪能させてもらった一夜だった。ごっつあんでした。