ゴージャスなデビュー作が登場!
ジョス・ストーンを当てて以降、リトル・ジャッキーやダイアン・バーチらを送り出し、オールディーズ目線からソウル回帰の流れに乗ってきたS・カーヴ。同レーベルから新たにデビューしたのがこのニッキー・ジーンだ。ルーペ・フィアスコやシルク130らとのコラボで名を売ってきた彼女だが、今回登場した処女作『Pennies In A Jar』にそうした進取性は薄く、キャロル・キングやボブ・ディラン、カーリー・サイモンら(主に)ロック〜ポップス界の巨匠たちと各曲をそれぞれ共作するというトピックも含め、いかにもS・カーヴらしい企画になっている(実際は提供された未発表曲に詞を加えていたり、いわゆる〈共作〉とはニュアンスが異なる曲もあるので注意)。が、主役の可憐な歌声はそうしたお膳立てに相応しい適性を発揮しているし、トム・ベルと共作してスタイリスティックス風の作法を再現してみせた冒頭曲から、独自の上品な世界に引き込まれるのは確かだ。ルーペやラモン・ドジャー、ベティ・ライトの援護がある一方、全曲のプロデュースがサム&スラッゴだというのも驚き。