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【第4回】――アレサ・フランクリン

連載
ハマ・オカモトの自由時間
公開
2011/12/14   00:00
更新
2011/12/14   00:00
ソース
bounce338号 (2011年11月25発行号)
テキスト
構成/編集部


ハマ・オカモト先生が聴き倒しているソウル〜ファンクを自由に紹介する連載!



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【今月の課題盤】ARETHA FRANKLIN 『Lady Soul』 Atlantic(1968)

今回は、4回目にして初の女性アーティスト、アレサ・フランクリンです。僕のアレサとの出会いは音楽ではなく、映画「ブルース・ブラザーズ」に食堂のおばちゃん役で出ていて、そこで〈この人か!〉と思ったのが最初なんですが——それはともかく、女性ソウル・シンガーといえば、やはりこの人は外せないと思うので紹介したいと思います。父親が牧師、母親がゴスペル歌手という両親のもとで小さい頃から教会でゴスペルを歌っていたアレサは、61年にレコード・デビュー。当時はジャズ系のポップスを歌っていたせいか、ほとんど注目されることがなかったんですよね。でも67年にアトランティックへ移籍して、ルーツのゴスペルに立ち返ったソウル・ナンバーを歌うようになると一気に人気が出て、オーティス・レディングと並んでサザン・ソウルの二本柱としての地位を確立します。ここで紹介する『Lady Soul』は移籍してから3枚目の作品で、ゆくゆくはアルバム・タイトルが自分の代名詞となるような代表作に。ビルボード・チャートで2位まで行った“Chain Of Fools”、インプレッションズのカヴァー“People Get Ready”あたりの楽曲がやはりポピュラーだと思います。加えてとにかくバンドがいいですよね。楽曲によってメンバーはバラバラなんですが、マーヴィン・ゲイやダニー・ハサウェイといったこれまでにこの連載で紹介してきたなかではいちばん演奏が荒っぽくて、全体的にカッコイイ(笑)。有名なところだとギターにボビー・ウーマック、クリームで活動していたエリック・クラプトンが参加しているっていうトピックもあります。この時代はダイアナ・ロスみたいな美人で華やか女性シンガーがいた一方で、アレサのような泥臭くて迫力のある歌で圧倒する歌い手はとても目立ったと思います。説得力が物凄い。ちょっと話は反れますが、最近和田アキ子さんが福原美穂さんと共演した曲(“Get Up!”)を聴いたのですが、アッコさんのリズムの取り方と、〈ハッ!〉の説得力はハンパないなと思って(笑)。それこそ〈日本版アレサ〉だなと思いましたね。

そんなアレサですが、今年は新作も出しているし、まだ現役です! 70年代に入って人気に翳りが出た時もありましたけど、80年代にはルーサー・ヴァンドロスやナラダ・マイケル・ウォルデンがプロデュースしたアルバムがヒットしたりして、復活。後に〈ロックの殿堂〉入りも果たしています。時代ごとにやっている音楽や体型などの違いはありますが、ルックスがほとんど変わっていないっていうのがまたすごいんですよね……。

 

PROFILE/ハマ・オカモト



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