ハマ・オカモト先生が聴き倒しているソウル〜ファンクを自由に紹介する連載!
【今月の課題盤】THE ISLEY BROTHERS 『3+3』 T-Neck/Epic/ソニー(1973)
今回はアイズレー・ブラザーズを紹介します。その名の通り、兄弟を中心にしたファンク・グループ。54年に兄弟4人で結成されますが、間もなくそのうちの1人が亡くなり、3人体制で50年代の後半にレコード・デビューしました。僕がこのグループを知ったのは、ビートルズ版でもお馴染みの“Twist And Shout”のカヴァーなんです。そもそもこの曲がビートルズのオリジナルではないんだ!というところから始まって。で、辿り着いたのが『3+3』だったんです(“Twist & Shout”は収録されていません)。これはオリジナル・メンバーの3人に、新たに弟や義兄弟ら3人が加入して初の作品で、初めてビルボード総合チャートのTOP10内に入った名盤。収録されたシールズ&クロフツ“Summer Breeze”のカヴァーも、夏の定番とも言える楽曲になっています。
1年くらい前、アイズレーの作品が紙ジャケで続々とリイシューされた時にまんまと乗せられたんですが(笑)、それを聴いていて思ったのが、時代ごとに音楽性は全然違うものの、70年代頭あたりのアルバムはいわゆるソウルな感じ、ドロドロしたところがなく、より都会的で洗練されたサウンドなんですね。『3+3』もそうで、これまでこの連載で紹介してきたものよりも聴きやすいと思う人が多いかもしれません。ところで、僕がDJする時に必ず持って行く“That Lady”は、〈That Lady, Pt.1 & 2〉とクレジットされているんですが、これはシングルで発表された時の名残。レコードのA面が〈Pt.1〉でB面が〈Pt.2〉になっていたものがアルバムでまとめられているんです。この手のジャンルではよくあることですが、ロックにはほとんどないと思うので、おもしろいですよね。あとこの曲に出てくる強烈なファズ・ギターとか、ロック的なアプローチをしてたりするのもカッコイイ。そのファズが本当に凄くて、レコードで聴くとうるさいくらいで(笑)。それから、今回聴き返していて気付いたんですが、“If You Were There”とシュガー・ベイブ“DOWN TOWN”のコード感が似てるんです、特にイントロの部分——そんなことも踏まえて、いまの時代にも全然通用する、色褪せない音楽という表現がぴったりの作品だと思います。
これ以降、メンバーの脱退&復帰が繰り返され、一時はロナルド・アイズレーだけの時代もありましたが、いまは弟のアーニーとの2人組で活動しています。兄弟グループと言えばやはりジャクソン5/ジャクソンズが目立つかもしれませんが、50年以上に渡って続いているアイズレーはそのなかでも最長の活動歴を誇るのではないでしょうか。
PROFILE/ハマ・オカモト
OKAMOTO'Sのヒゲメガネなベーシスト。最新作『欲望』(ARIOLA JAPAN)が好評リリース中。土岐麻子のベスト盤『BEST! 2004-2011』に収録された新曲“heartbeat”にベースで参加しています。その他最新情報は〈www.okamotos.net〉へGo!