ジョージのからだ半分はインドで出来てました!
ラトルズという、英国のビートルズのパロディー・バンドをご存知の方もいると思いますが、そのメンバーのジョージ・ハリスン役がインド人?(リッキー・ファターという南アフリカ出身のドラマーでビーチボーイズにも在籍していたとか!)だと知ったとき、そのモンティパイソン流とんちに腹がよじれるほどの感銘! を受けた記憶があります。ビートルマニアの僕としてはうすうす感じてはいましたが、ジョージのからだ半分はインドで出来てました(笑)。ここまで東洋哲学にのめり込んでいたのか! というのが正直な感想だ。
レノン&マッカートニーの2人の天才ソングライターがいるバンドのメンバーであるという音楽史上最大のプレッシャーの中、彼が自分の音楽を創りだすには相当な努力が必要だった訳で、その結果彼はビートルズ楽曲のきわめて少ないギターソロ・パートの中で、正にジョージ印とも言える個性的なソロをひねり出し、研究を重ねて独特のギター哲学を手に入れた(しかも意外なことにバンド内のキーマンであり、シタールやシンセなどの新しい楽器の導入やエリック・クラプトン、フィル・スペクターなどの参加のきっかけもジョージによるものだ)。さらにジョンやポールとはひと味違ったソングライティングの能力を身につけることにもなる。24歳のジョージはラヴィ・シャンカールにシタールのレッスンを受け、インド音楽はもちろん、インド哲学にも没頭していく。さらに、当時の恋人パティ・ボイドの勧めで、若者の間で流行していた東洋思想に興味を持つようになり、ますます精神世界に没頭していく。
26歳でビートルズは解散。『オール・シングス・マスト・パス』(70年発表のジョージのソロアルバム)は既に達観したかのような精神世界である。なんと言ったらいいのか…。26歳で不幸を背負って老成していくかのようである。親しい友人の多くはインタヴューで、「彼は二面性を持っている、ふたつの顔がある」と言う。内面を見つめる、孤独な人間と、俗物なロックスターとしての一面。常に付きまとう、ビートルズやメンバーへの愛憎、モンティ・パイソンなどの皮肉やブラック・ユーモアと幼児性に満ちた世界。瞑想やタントラなどの慈愛に満ちた精神世界。マテリアル・ワールドに生きたジョージは常にスピリチュアル・スカイと此岸とを行き来しては、闇である肉体を光で満たそうとしてたのに違いない。