かの地に残された秘宝音源を探し求めて……
70年代末から80年代初頭のブリストルといえば、ダブやファンクを骨子にアブストラクトなポスト・パンクを提示したポップ・グループ(及びその一派)の印象がどうしても強い。が、同地の秘宝的音源を発掘し続けるブリストル・アーカイヴより、当時のインディー・シーンの状況を伝えてくれるコンピがこのたび一挙にリリースされた。ここにはポップ・グループ一派の躍進の裏で蠢動していた有名無名(ほぼ無名)なバンドの姿が克明に刻まれている。
まずは79年に発表された名コンピの30年以上ぶりとなる続編『Avon Calling 2』。ブリストル最初のインディー・レーベル、ハートビートに残された音源をまとめたもので、全曲未発表という驚きのブツだ。なお、前作以上にパンク/パワー・ポップ度が高め。お次の『Bristol The Punk Explosion』は、タイトル通りパンクに的を絞った内容に。77〜83年と幅を拡げた選曲になっているので、ストレートな初期パンクからハードコア〜ノイズコアへと至るシーンの変遷が一望できる。そして『The Best Of Fried Egg Records: Bristol 1979-1980』は、80年のコンピ『E(gg)Clectic』にボートラを加えたリイシュー盤。ファンズをはじめとするパワポ勢からパブ・ロック風、ダブやラテン音楽を採り入れたポスト・パンクまで雑多だが、そのぶん当時の混沌とした熱気をキャッチできるだろう。
また、先述のコンピとは別に、ブリストル・レゲエの代表格であるタリスマンの初期音源集『Dole Age: The 1981 Reggae Collection』と84年作『Takin The Starlin』もCD化された。ニューウェイヴの薫り漂うパンキー・レゲエが満載なので、こちらもまとめてチェックすべし。
▼文中に登場した作品を紹介。
左から、『Avon Calling 2』『Bristol The Punk Explosion』(共にBristol Archive/OCTAVE)、『The Best Of Fried Egg Records: Bristol 1979-1980』(Fried Egg/Bristol Archive/OCTAVE)、タリスマンの編集盤『Dole Age: The 1981 Reggae Collection』(Bristol Archive/OCTAVE)、同84年作『Takin The Strain』(Embryo/Bristol Archive/OCTAVE)