クァンティックと再会したアリス・ラッセルのQ&A
クァンティックといえば、いまやフラワーリング・インフェルノやコンボ・バルバロを率いた傑作群で、いわゆる〈ワールド・ミュージック〉系のリスナーにも愛されるマージナルな音楽大使のひとりとなっています。昨年リリースしたベスト盤『The Best Of Quantic』も10年分のミュージカル・ジャーニーが改めて一望できる素晴らしい出来だったわけですが、そこに並ぶさまざまなゲスト・ヴォーカリストのなかで、もっとも多くの曲をピックされていたのが誰あろう、アリス・ラッセルであります。
クァンティック以外とも数多くの作品を残してきたアリス・ラッセルは、75年に英サフォークはフラムリンガムに生まれ、ブライトンで育ったシンガー。オルガン奏者だった父親の導きで幼い頃から歌や楽器演奏を始め、ゴスペルやソウルをバックボーンにソウルフルな歌声を育んできました。同じブライトンのトゥルー・ソーツに出入りするようになってからはレーベルの諸作に貢献。2008年に独立してからも、ミュージシャンの人脈はそのままに活動を継続しています。
そんなアリスがクァンティックと実に7年ぶりに合体したのが、今回登場した『Look Around The Corner』です。それも単なる同窓会ではありません。レコーディングが行われたのは現在クァンティックが拠点とするコロンビアのカリ。彼がコンボ・バルバロ構成員を初めて迎えた『Tropidelico』(2007年)の時点で袂を分かっていたアリスにとってはコロンビア勢との初顔合わせになりますし、クァンティックにとっても自身の新旧の音楽性を融和させるという新しい試みになっているのです。結果的にNYのブーガルーやTK産のカリビアン・ソウルにも通じる音像となった『Look Around The Corner』は、文字通りストリートの角を曲がったら何かが飛び出してくるような、フレッシュな驚きと格好良いサウンドで興奮させてくれるはずですよ!
▼関連盤を紹介。
左から、クァンティックのベスト盤『The Best Of Quantic』(Tru Thoughts)、クァンティックが監修したコロンビア音楽のコンピ『The Original Sound Of Cumbia: The History Of Colombian Cumbia & Porro As Told By The Phonograph 1948-79』(Soundway)