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ひよこNo.43 忘れらんねえよ

連載
ROCKひよこ組
公開
2012/03/14   00:00
更新
2012/03/14   00:00
ソース
bounce 342号(2012年3月25日発行)
テキスト
文/タマコ


タマゴからかえったばかりのロック・バンドが登場!



忘れらんねえよ_A


みなさ〜ん、お待たせ〜☆ タマゴからかえったばかりのロック・バンドが集まる〈ROCKひよこ組〉の担任、星のかけらを探しに行っていたタマコです。ま、誰も待ってなかったよね! さて、タマコの2か月ぶりのカムバを飾るのは、初作『忘れらんねえよ』(バップ)を発表した3人組、忘れらんねえよです!  いったい何が忘れられねえの?

「大学時代に友達と組んでいたバンド〈女殺団〉が、知らぬ間に自分抜きで続けられていたことが卒業して5年後に発覚して。相当ショックで、悔しくて仕方なかった。その時気付いたんです、俺はバンドがやりたいんだと。そういう強烈な絶望感から始まって、いまやっている表現はすべてそこから逃げないという気持ちがそのままバンド名になったんです。それは、新作の1曲目はやっぱ“忘れらんねえよ”だな、と思った時に気付いたんですけど」(柴田隆浩、ヴォーカル/ギター:以下同)。

まるでオブラートなしのリリックを吐き出す生々しい歌とパンキッシュなサウンドで、銀杏BOYZ的な匂いを感じたわけですが、音楽的な影響は柴田くん自身、90年代のJ-Popと浅井健一から受けているとか。その一方で、曲中でもありのまま歌われている通り、チャットモンチーの存在も大きいそうで……。

「ちょうど女殺団の一件が発覚した頃にチャットモンチーさんのライヴ映像を観て——僕の勝手な想像ですが、メンバーの皆さんは音楽/バンドが好きでたまらないという衝動をただ真っ直ぐ爆発させるため、それに必要のないものはすべて捨てて生きてる。その生き方は死ぬほど難しくてしんどいけど、だからこそ最高に美しいと思うんです。そんな姿を観ながら、俺のなりたい姿はこれだって、でも全然なれてないじゃないかと涙が止まらなかった。それも僕の原点だと思います」。

そんな熱いバンドですが、やはり新作の制作においても「売れなかったら金玉が爆発する」ほど熱い!

「あたりまえだと思いますが、レコーディングにまつわるすべてのことに、〈最高だ、これ以上ない〉というものだけを選んで構成しています。とにかく僕たちそのものだと言い切れるアルバム。でも歌詞はライヴのMCも含めて個人名を出しすぎているので、いつか訴えられるんじゃないかと不安で夜目が覚めたりします……大丈夫でしょうか」。

訴えられるくらいになったら一人前だよ! がんばれ〜☆



ひよこ組のおともだち



空きっ腹に酒 『僕の血』 SPS

アルコールの回りが速い、大阪の3人組です。冒頭ではどこぞの文系ヒップホップ・バンドかと思いきや、次はキレのいいダンス・ロックをカマしたり、初期レッチリ!って感じの猥雑なミクスチャー、高速のゆら帝みたいな曲まであり。おもしろい!

 

キュウソネコカミ 『10代で出したかった』 EXXEN-TRIC

残念ながら20代突入!の、こちらも関西のバンド。ハイテンションさはそのままに、the telepho-nesを野蛮度高め……失礼、パンク度高めにしたような……。同じ曲とは思えない劇的な展開を見せるナンバーもユニーク。全力です。

 

paionia 『さようならパイオニア』 DAIZAWA 

大してリリックに引っ掛かるタイプではないタマコですが、すごく言葉が耳に入ってきます。タマコと思ってることが似てるからでしょうか。Syrup16gが夕焼けをバックに演奏すると、こういう感じになりそうなサウンドを奏でる4人組!

 

ファジーロジック 『Tid』 HEADLINE 

優良バンドがザックザク登場している神戸から、またニューカマーが! この4人組、フジファブリックを思わせるドライヴィンな楽曲から、うっとりファンタスティックなスロウまで取り揃え、ちゃんと曲を書ける子たちなのね〜!と上からタマコ。