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Carlos Aguirre『オリジャニア』

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o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2012/05/01   11:11
ソース
intoxicate vol.96(2012年4月20日発行号)
テキスト
text:佐藤慶人

南米各地から精鋭達も集結。アギーレ4年ぶりの新作


2010年には初来日ツアーを行い、日本国内での知名度も一気に上がったアルゼンチンの作曲家/ピアニスト/シンガーであるカルロス・アギーレの新作が登 場した。2000年発表のファースト『Carlos Aguirre Grupo(Crema)』(長らく入手困難だったが2010年に国内盤化)、『Rojo』(2006)『Caminos』(2006) 『Violeta』(2008)に続く5作目であり、Carlos Aguirre Grupoではない本人のソロ名義の作品としては『Caminos』に次ぐ2作目のアルバムということになる。

ラテン・アメリカの各地で録音されたという本作には、おなじみアルゼンチンの孤高のピアニスト、モノ・フォンタナ、ブラジル出身の盲目のシンガー、グラストン・ガリッツァ、ベテランシンガー・ソングライターのホルヘ・ファンデルモーレ、アカ・セカ・トリオのフアン・キンテーロ、昨年リリースされたブラジルのピアニスト、アンドレ・メマーリの『カンテイロ』(アギーレも参加している)にも参加していたモニカ・サウマーゾ、世界的に活躍する重鎮ギタリスト、キケ・シネシ、アギーレのレーベルからアルバムをリリースしているチリ人ヴォーカリストのフランチェスカ・アンカローラ、そしてお馴染み、ウルグアイのカンドンブレ・マスター、ピアニスト&アコーディオニストのウーゴ・ファットルーソ、という南米各国を代表する精鋭ミュージシャンが参加している。

こういったミュージシャンが参加していることもあり、南米各地の多様なリズムが次から次へと登場してくるが、あくまで煩雑にならず、美しいアンサンブルへと昇華させてしまうのは、アギーレ印のメロディとハーモニーの強さゆえだろう。「モダン・フォルクローレ」などと呼ばれることもあるアギーレの音楽だが、ブラジルのMPB、とりわけイヴァン・リンスやトニーニョ・オルタらとの共通点を強く感じさせる箇所も多い。前述のメーマリ『カンテイロ』と併せて是非御一聴を。

LIVE INFORMATION

『sense of “Quiet”』
2012年5月13日(日) 14:00 開場/14:30開演
会場:浄土宗大本山光明寺・大殿(本堂)
出演:ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート、沢田穣治 (b)、 マヤ (harmonium, etc)/東野珠実(笙・竽)、三浦礼美 (笙)、中村華子(笙)、瀬藤康嗣 (法螺貝)

2012年5/15(火)、16(水)18:00開場/18:30開演
会場:草月ホール
出演(5/15):カルロス・アギーレ・ウィズ・キケ・シネシ/青葉市子(vo, g)
(5/16):ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート、沢田穣治 (b)、 マヤ (harmonium, etc)/
キケ・シネシ  ゲスト:カルロス・アギーレ
※5/15とは別の演目を予定
http://www.nrt.jp