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Caravan

カテゴリ
web exclusive
公開
2012/05/23   11:57
ソース
webオリジナル
テキスト
取材・文 桑原シロー

ライヴ・レポート──『Caravan LIVE EXTRA 2012 みどりの日』





自然に親しむと共にその恩恵に感謝し、豊かな心を育むことを目的として制定された休日に、日比谷野外音楽堂にて『Caravan LIVE EXTRA 2012 みどりの日』が開かれた。このたび7年間在籍したメジャー・レーベルを離れ、みずからプライベート・レーベル〈Slow Flow Music〉を立ち上げたCaravanにとってこのワンマン・ライヴは、新しい第一歩を踏み出したことを報告する会でもある。そんなお祝いの場は、少し 前まで激しい雨にさらされていたことが不思議に思えるほど晴れ渡り、きれいな虹がかかるなどドラマティックな光景が広がることに。こいつは実に縁起がい い。開始前からあちこちで全国から集まったオーディエンスたちの笑顔も弾け、そこかしこに水溜りに高揚する気分が反射していた。





そしてステージに目を向けると、こんなシチュエーションは「出来すぎ」だと上機嫌に語るミスター・スロウ・フロウ、Caravanがいた。アーシーな演奏 が光る《Wagon》や、さっき空にかかっていた虹を思い出さずにはいられなかった《Think》など心地良い風が次々に運ばれてきて、会場のお祭り気分 は一気に盛り上がっていく。キーボードの堀江博久、ベースの伊賀 航、ドラムスの白根賢一、ギターの佐藤克彦というCaravanが心から愛するメンバーたちによって生み出されるグルーヴは、濃厚かつまろやか。ブルー ジー《Julian》やダイナミックな《Bohemian blues》など、豊か過ぎる表情を見せながら、腰のあたりを優しく打つのだった。トロピカルな音色を奏でるギターが月光に映えていた《ハミングバード》 など名場面が多数登場。なかでも、倉井夏樹のブルースハープと共に奏でられた新曲《You make me free》は夜空に奇跡の響きがこだまし、日比谷の森全体がウットリとした表情を浮かべたものだった。




「忙しくなりそうだけど、すっげえワクワクしててさ」。MCでは、また一から出直すのだと何度も口にしていたCaravan。印象的だったのは、何かもっ といろいろと言いたそうにしているのだが、口から出てくるのはただただ「ありがとう」だけ。そんな彼の様子だった。これからも風の吹くほうに向かって歩い ていく、という彼の力強い宣言は、ステージのミラーボールの反射と月光が交錯する光景も感動的だった締め括りの《Soul music》、そしてアンコールの《FREE BYRD》(ステージの上にはコウモリが舞っていた)や《Sweet home》においても聴き取ることができた。Caravanの行くべき先を指し示しているニュー・アルバム『The Sound on Ground』(6/1リリース)からの《On the road again》、そして《Camp》といった予定外の弾き語りを終えて、ライヴは閉幕。目の前で「また明日から……」と自分自身に言い聞かせるように話して いる彼を眺めながら、あぁ、不安やなんやかんやひっくるめて楽しむのがやっぱり旅の醍醐味だよなとつくづく思う。Caravan、ふたたび路上へ。会場に 集まったすべての人が、彼の輝かしき未来を祝福した夜だった。



photo by Susie

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