メンフィスのダークサイドで蠢く白い軍団
ウィズ・カリファとの絆を強めてDrルークのレーベルと契約したジューシーJは“Bandz A Make Her Dance”のヒットなど華やかに立ち回り、一方のDJポールはダーティー・サウスなノリを堅持しながらソロ作『A Person Of Interest』も間近……とクルーの先行きが不安なスリー6マフィア。そんな一派にあって、自主レーベルを設立したリル・ワイトの動きは活発だ。
昨年は新ユニット=スノーでのアルバムも出ていたが、今度は通算5枚目のソロ作『Still Doubted』である。エミネムとも比されたシャープな口技は余裕とひねくれた鋭さを増し、デビュー作『Doubt Me Now』を引き合いに出すだけのことはあるというか、一国一城の主としての気合いも十分。プロジェクト・パットやヤング・バックといった名のある客演も効果的だ。
同時期には、彼の配下から昨年デビューしたシャムロックも2作目『Money Green』を投下。こちらはダークさを持ち味とするボスの作品よりもカラフルでキャッチーなビートが多く、濃い口のラップもストレートで良い。なお、両方の作品にマフィア離脱組のロード・インファマスとフレイザー・ボーイが参加しているのは嬉しい驚きじゃないだろうか。