ハマ・オカモト先生が聴き倒しているソウル〜ファンクを自由に紹介する連載!
【今月の課題盤】SLY AND THE FAMILY STONE 『Fresh』 Epic (1973)
今回は王道で、スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンを紹介します。66年にヴォーカル/鍵盤などを担当するスライ・ストーンを中心に結成された、その名の通りストーン・ファミリーの面々を擁するグループ(家族じゃないメンバーもいますが)。その特徴は、スライの歌が中心にあることなんですよね。マーヴィン・ゲイにすごくファンキーなバンドが付いているようなイメージかもしれない。スライのヴォーカル力にしっかりしたコーラスワークっていう、ソウル/ファンク・バンドとしては無敵の存在だと思います。また、前回のブッカー・T&ザ・MG'sと同じく黒人と白人の混合バンドということで、その編成ならではのグルーヴ感が出てますよね。ドラムがこう叩いたら、ベースをそう弾いてしまうのか……っていう意味がわからない(笑)。こういう真似できない感じが痺れます。
髪を切って男前度アップ! 服装が前回と同じなのもフレッシュ!
スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンと言えば、71年の〈暴動〉(『There's A Riot Goin' On』)を選ぶ人が多いんですが、僕は断然その次の作品になる『Fresh』なんですよ。〈暴動〉は音楽史における金字塔的なアルバムなんだと思いますが、個人的には正直ピンとこない。全体の完成度の高さから言うと『Fresh』だと思うんです。周りからは〈若いからだよ〉とよく言われるんですが……。スライは〈暴動〉まででしょ、みたいに言われる理由のひとつは、『Fresh』からリズム隊が変わったことにあると思います。ベースはラリー・グラハムからラスティ・アレンになったんですね(一部ラリーが弾いている曲もあり)。どちらかというとメロウな前作から、このファンクな作風になったというのは、このことが大きいんじゃないかと。大名曲“If You Want Me To Stay”はベースから始まるんですが、以前紹介したベン・ロンクル・ソウルのライヴ盤『Live In Paris』収録の“Seven Nation Army”がこの曲のアレンジで始まっていたりなど、王道のベースラインになっていたりします。
また、ローリング・ストーンズ“Satisfaction”にかけてるらしい“I Don't Know(Satisfaction)”なんて曲もあったり、驚きの“Que Sera Sera(Whatever Will Be, Will Be)”のカヴァーなどなど、遊び心もたっぷりなんですよね。ただ、日本人としてどうしても気になってしまうのは、ジャケのスライが藤岡弘、(というか仮面ライダー)を彷彿とさせるということでしょうか(笑)。
▼今月の副聴盤。スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンの71年作『There's A Riot Goin' On』(Epic)
PROFILE/ハマ・オカモト
ズットズレテルズの再結成も話題となっている、OKAMOTO'Sのベーシスト。最新作『欲望』(ARIOLA JAPAN)も大好評。7月18日にはニュー・シングル“マジメになったら涙が出るぜ”のリリースが決定! 詳しくは〈www.okamotos.net〉へGo!