ハマ・オカモト先生が聴き倒しているソウル〜ファンク を自由に紹介する連載!
【今月の課題盤】 TOWER OF POWER 『Urban Renewal』 Warner Bros. (1975)
今回は、最近どハマりしているタワー・オブ・パワー(以下TOP)を紹介します。このグループは70年にデビューしたUSのファンク・バンド。サックス奏者のエミリオ・カスティージョを中心に結成され、多くのメンバーがラティーノという人種混成のグループです。とはいえ特別このバンドに詳しいわけではなく、5作目『Urban Renewal』をよく聴いていて、ぜひ取り上げたいと思ったんです。
この間ZAZEN BOYSの吉田一郎さんとKenKenと呑んでいた時、ベースの話なんていつもだったらしないんですけど、珍しくそういう話になって。いろいろなベーシストの名前が挙がったなか、2人が〈ロッコはヤバイ〉と。ロッコとはTOPのオリジナル・ベーシストのロッコ・プレスティアのことなんですが、その時はまったくこのグループを聴いてなかったので2人を傍観してたんです。デヴィッド・ガリバルディというドラマーとは〈黄金のリズム隊〉って呼ばれているような人なんですが、一郎さんとKenKenいわく、〈他のベーシストは真似できるけどロッコは真似できない〉と。〈あんなにプクプクできない〉みたいなことをずっと言ってるんです。その〈プクプク〉の意味がわからなかったからというのもありつつ、そこまで言うんだったらとにかく聴いてみないと、ということで、何かに載ってた『Urban Renewal』を買ったんです。実際TOPの盤は3〜4枚しか持ってないんですけど、このアルバムはダントツにカッコイイ。3作目の『Tower Of Power』あたりが有名みたいですけど、僕にはその良さがわからなくて……。
肌男です。
で、ロッコの凄さっていうのは、とりあえず弾き続けるんですよね、休みなく。ちょっと込み入った話をすると、プレイヤーには〈手癖〉というのがあるものなんですが、KenKenが言うには、〈ロッコの手癖は普通じゃないから普通の人は真似できない〉と。彼本人がこのアルバムの1曲目“Only So Much Oil In The Ground”の弾き方を教えている動画があって、それを観て最近ずっと練習してるんですけど、右手のミュート感が凄いんですよ。こういうことか!と思って。以前この連載でベイカー・ブラザーズを紹介したことはありましたが、もともと僕の嗜好は黒人がやっているものが中心だったんですけど、このアルバムには久しぶりにブッ飛びましたね。
今回はだいぶミュージシャン目線の話になってしまいましたが、ロッコのベースはバラードだろうがなんだろうがプクプク言ってるので、聴いてみてください!
PROFILE/ハマ・オカモト
OKAMOTO'Sのヒゲメガネなベーシスト。ニュー・シングル『マジメになったら涙が出るぜ/青い天国』(ARIOLA JAPAN)がついにリリース! また夏フェスなどへの出演も続々と決定しているので、詳しくは〈www.okamotos.net〉へGo!