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ユニバーサル TV コレクション

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EXTRA-PICK UP
公開
2012/07/22   21:39
ソース
intoxicate vol.98(2012年6月20日発行号)
テキスト
text:高野直人(秋葉原店)

『ナイトライダー』Film ©1982/2004 Universal Studios. All Rights Reserved.

全国の海外TVドラマ・ファンへ
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「ナイトライダー…陰謀と破壊と犯罪の渦巻く現代に蘇る正義の騎士…巨大な悪に立ち向かう現代の騎士、ナイトライダー。(拙者注:以下登場人物の解説は割愛)。…今日、彼を待ち受けるものは果たして誰か!」とTVドラマ『ナイトライダー』のオープニングのナレーションを一字一句間違えずに呟きながら、呟き終わると、「ブーン」という走行音を模した擬音を発しながら猛烈な勢いで駆け抜けていく。小学校の同級生で、ナレーターから車まで何役もこなして休み時間を過ごしていた小池くん(仮名)は、それくらい『ナイトライダー』狂いだった。

世の中はバブル景気、日本のテレビドラマはトレンディー・ドラマ化へ一直線、そんな時代に小学生も高学年になると、徐々にマセた子から海外ドラマに嵌り始め、学校の休み時間や放課後で話題にのぼる頻度が上がっていた。まだ、VHSですらそこまで普及していなかったので、私も一期一会の覚悟でブラウン管とにらめっこしていた。その点、小池くんはVHSで放映を全て「標準録画」していた。小学生が書いた『ナイトライダー』のラベルの文字(ラベルを書いてから貼ればいいのに、貼ってから書いたようで余計に!)は拙さと、部屋のスペースの大部分を割くコレクションの壮観さとの対比が面白かった。小池くんは「全部持ってる」と自慢気だった。

80年代に大ヒットした海外名作ドラマを中心とした『ユニバーサルTVコレクション』シリーズのラインナップを見ながら、もう一度みたい、見直してみたい、と思うタイトルの多さに驚かされる。1箱15時間前後のコンプリート映像が、コンパクトなサイズで、破格の価格で手に入るということにも。あの当時の小池くんがこの〈未来〉を知ったら泣いてしまうかもしれない。更に泣いてしまうかもしれない事実として、80年代の海外TVドラマは、日本では全てを放送していないものも多いということだ。『ナイトライダー』で言うなら、シーズン4まで全84話中日本では74話分しか放送されていない。小池くんが 「コンプリート」と思っていたものは、実はコンプリートではなかったのだ(アーメン!)。

『刑事コジャック』Film ©1973/1974 Universal Studios. All Rights Reserved.

その意味で、懐かしのドラマをこの機会は単に見直すと言うだけでなく、コンプリートを目指すという絶好の機会でもある(特に『宇宙空母ギャラクティカ』は、当時の日本放映時はオリジナルを半分以下に圧縮されていたので要チェックだ)。

DVD化によって当時は分からなかった(気づかなかった)ゲスト陣や無名時代の役者探しなども楽しい。『マイアミ・バイス』にはマイルス・デイヴィスやフランク・ザッパといった天才音楽家がゲストで出演している!なんてのもあります。

見るだけではない。聞くことの楽しみもある。『刑事コジャック』の森山周一郎や『刑事コロンボ』の小池朝雄の吹替え(日本人で良かった)! そうであった、コロンボの〈かみさん〉が画面に登場しないのと同様に、コロンボのファーストネームは「ない」と思われていたのだが、DVD化に際して画面を拡大させることで解明されたという素晴らしい話もある。小池くんの横で休み時間に額に手をあてて「うちのかみさんが…」とかひとり言っていた高野くん(実名)も、小池くん同様この〈未来〉を知ったら泣いてしまうだろう。長大な収録時間以上のさまざまな〈時間〉を体感する素晴らしい機会。〈未来〉は今、なのだから!