ポップ職人がお気に入り曲をカヴァーしたら
ジェフ・リンが何と22年ぶりにソロ2作目『Long Wave』を発表した。エレクトリック・ライト・オーケストラの『Zoom』から数えても11年ぶりとなる本作は、自身のルーツを辿るカヴァー集だ。ポール・マッカートニーの最新作『Kisses On The Bottom』に感化されたのか、エルヴィス・コステロの歌唱でもお馴染みの“She”や“Smile”といったスタンダードに真っ向から挑戦、誠実さに溢れた歌声を披露している。ただし豪華なオーケストレーションで飾ったポールの作品とは違い、全編で聴かれるのはドラムに独特のエフェクト処理を施した、まぎれもないジェフ・リン印のポップ・サウンド。カラフルなコーラスなど随所に大量のビートルズ・イディオムが散りばめられているのもゴキゲンだ。
さらに今回、ELOとしてグループの名曲群を再録したベスト盤〈Mr. Blue Sky〉まで届いたのだからたまらない。その中身は、新鮮な表情で生まれ変わったミラクル・ポップスの詰め合わせ。新曲“Point Of No Return”もあるぞ!
▼文中に登場した作品を紹介。
左から、ジェフ・リンのニュー・アルバム『Long Wave』(Frontiers/MARQUEE)、エレクトリック・ライト・オーケストラのセルフ・カヴァー・ベスト盤『Mr. Blue Sky: The Very Best Of Electric Light Orchestra』(Frontiers/MARQUEE)