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DG &DECCA『20世紀の音楽シリーズ 』

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o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2012/10/03   16:33
ソース
intoxicate vol.99(2012年8月20日発行号)
テキスト
text:池田敏弘(新宿店)

コレクター魂を呼び起こさせる作品ラインナップは要チェック

DGとDeccaが新たに20世紀の音楽シリーズを開始した。当シリーズは全て紙ジャケット仕様で、表紙のデザインも統一されており、非常に収集欲が湧く作りとなっている。現在DG、Deccaによる新しい作曲家の現代曲の作品リリースはそこまで旺盛では無いが、これらのラインナップを見ると、今では考えられないくらいの錚々たる作曲家の布陣が列び、同時代音楽が非常に熱かった時代への憧憬や、その重要性を改めて感じる良い機会だとも思う。当シリーズはドビュッシー以降〜現在までの現代音楽のいずれも重要な一局面を映し出した作品、録音ばかりで、この期間に生まれた様々なスタイルの作曲家を俯瞰する様な視点で作品が選ばれている。現代音楽に馴染みの薄い方はこのシリーズで追うのも良し、また、持っていなかった盤、買い逃していた盤を入手する機会として頂きたい。

第1弾では10タイトルがリリースされた。ドビュッシーに始まり、ドビュッシーとも親交あったヴァレーズが打楽器作品へ目覚め、やはり、音色の可能性を探り打楽器の代案による棚ぼたで生まれたケージのプリペアードピアノの考案。そして前衛の時代、シュトックハウゼンの『グルッペン』引用音楽たるベリオの『シンフォニア』と時期を同じくしてアメリカではミニマルミュージックが胎動し……といった具合に時系列でその背景と共に録音を楽むのも吉。第1弾の中にはライヒのドラミング74年DG盤など、長らく聴けない状態であった録音もある。また、ケージ・イヤーの今年、実験音楽のスペシャリスト、ティルバリーによる『ソナタとインターリュード』が再発されたのも嬉しい。

第2弾としては、ヴァイル、メシアン、ルトスワフスキ、バルトーク、トーキーが予定されており、お馴染みウテ・レンパーによる『三文オペラ』が入っているのも面白い。まとまって聴ける盤自体がなかなか無いトーキーは代表作であるアトランタ・オリンピックの委嘱作なども収録しているので、これを機に聴いてみるのも良いだろう。

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