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【第1回】――レッド・ツェッペリン

連載
生形真一の六弦生活
公開
2012/12/20   13:35
更新
2012/12/20   13:35
ソース
bounce 350号(2012年11月25日発行)
テキスト
文/溝口和紀(New Audiogram)


ひたすら六弦生活を送る男が、ギタリスト目線も交えて名盤を紹介する連載!



生形連載第1回_A



【今月の一枚】 LED ZEPPELIN 『Led Zeppelin IV』 Atlantic(1971)

レッド・ツェッペリンを知ったのは結構遅くて、20歳くらいでライヴハウスに出るようになって、そこの店員さんに教えてもらったのが最初かな。でも初めはまったく理解できなかったんです。俺が音楽を聴いて育った90年代はデジタル録音が始まって、ハイファイな音に慣れていたから、20歳当時の俺の耳にはショボく聴こえたんですよね。曲構成も理解しづらいし、ギターの音も歪んでないし。このコラムを読んで『Led Zeppelin IV』を初めて聴く若いコたちも最初はそう感じるかもしれないけど、でも売らずに持っておいたほうがいい。俺は何回も売ったから(笑)!

ツェッペリンを良いと思えるようになったキッカケは、ライヴ盤の『The Song Remains The Same』。1曲目の“Rock And Roll”を聴いて、バンドのテンションが凄まじくて〈このバンド、凄い!〉と思ったのを憶えてます。それが22、3歳の時かな。それで、この〈IV〉も聴き返すとカッコイイなと思って。やっぱり“Black Dog”が好きですね。ロックの理想型というか、真ん中にぶっ太いリフがあって、みんながそこに向かって演奏しているという感じがして。あと“Four Sticks”も好き。5拍子だけど変拍子に感じさせないし、ノリやすい。俺はやっぱり、こういうラウドなツェッペリンが好きですね。

今回ツェッペリンのアルバムを1枚選ぶってことで悩んだけど、やっぱり〈IV〉にはツェッペリンの魅力が全部入ってると思います。同時代の他のバンドと比べても、ツェッペリンは音にも曲にも深みがある。ポップじゃなくて取っ付きにくいけど、そのぶん聴いていくとハマるんです。

シングル“Spirit Inspiration”に収録されてるリフものの曲“Lighthouse”のギターはレスポールで録ったんだけど、そういうところもツェッペリンの影響はあると思います。〈ツェッペリンからの影響はない〉って言う人もいるかもしれないけど、ロックをやってるからにはどっかしらで絶対影響を受けてるはず(笑)。曲を作る時、影響受けちゃマズイとか、誰かと似ちゃったらマズイとか、少なからず思うんだけど、正直ツェッペリンは聴きますね。独創的だし、お手本と言ったら失礼だけど、どのアルバムにもヒントが隠されているというか、アイデアが豊富ですよね。ロックのすべてをやっちゃってる。ジミー・ペイジはロックを作った人だと思います。