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大和田ジャズ

公開
2013/03/08   11:23
ソース
intoxicate vol.102(2013年2月20日発行号)
テキスト
文/上村敏晃

渋谷毅、塩谷哲、坂田明

渋谷毅、塩谷哲、坂田明のリレーで聴く、ジャズ一代記

新しい文化の発信基地として評判の渋谷区文化総合センター大和田。ここに併設された「伝承ホール」で、ジャズ・フェスティバル「大和田ジャズ」が3月16日に開催される。公演は3部構成で、第1部はスウィング・ジャズ篇「エリントンを聴こう」、第2部はモダン・ジャズ篇「スタンダードに酔いしれる」、第3部は現代日本篇「フリージャズから民謡まで」と、それぞれにテーマ性を持たせていて、どれも興味深い内容だ。

まず、第1部に登場するのは渋谷毅&エッセンシャル・エリントンである。巨匠、デューク・エリントンの楽曲に渋谷の視点から新しい光を当てた小編成アンサンブルによる演奏。このグループによるエリントン作品集はすでに3枚のアルバムとして発表されていて、どれも独自のアプローチと豊かな音楽性が高く評価されている。渋谷のピアノは勿論、峰厚介、松風鉱一といった、名うてのサックス奏者たちのソロも聴きどころだ。

第2部は塩谷哲。世界的人気を誇ったサルサ・バンド、オルケスタ・デ・ラ・ルスのピアニストとして頭角を現し、数多の国内外の音楽家と共演を重ねて、その類いまれな才能が進化を遂げ、今や日本でも屈指の、幅広い音楽性と高い演奏力を併せ持ったピアニストとして、ヴァイタルな活動を展開している俊英だ。楽曲への深い理解と洞察にも秀でた塩谷が、スタンダードをどのように奏でるのか。期待に胸膨らむピアノ・ソロである。

第3部は、以前在籍した山下洋輔トリオでの圧倒的なアルトサックス演奏でヨーロッパの聴衆の度肝を抜いた凄腕、坂田明だ。坂田は山下トリオ脱退後、ユニークなオーケストラを率いたり、多様なジャンルの強者たちと共闘したり、幾冊もの著書を上梓したり、停滞することを知らない全方位的表現活動で我々に刺激を与え続けてくれる偉大なる異才。彼のグループの演奏はまさに「フリージャズから民謡まで」何が飛び出すかわからない、知性、抒情、諧謔、熱情が入り交じった、鮮烈なステージが予感される。

LIVE INFORMATION
『大和田ジャズ』
3/16(土)17:00開場/17:30開演
会場:渋谷区文化総合センター大和田  伝承ホール
出演:
渋谷毅&エッセンシャル・エリントン
[渋谷毅(P)松風鉱一(sax,fl,cl)峰厚介(sax)高岡大祐(tuba)外山明(ds)清水秀子(vo)]

塩谷哲(P)

坂田明グループ
[坂田明(sax)/高良久美子(vib, perc)/高岡大祐(tuba)/山本達久(ds)]
http://www.shibu-cul.jp/