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(第11回)チャン・ギハと顔たちの新曲がリリースされましたが……!

連載
長谷川陽平のソウルで勝手に生きてます。
公開
2013/04/09   17:00
更新
2013/04/09   17:00
テキスト
文/長谷川陽平


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チャン・ギハと顔たちでギタリスト/プロデューサーを務める日本人メンバー・長谷川陽平が、ソウルは弘大(ホンデ)に集まるミュージシャンの生態に迫る連載! 今回はチャン・ギハと顔たちが挑んだ新たなプロジェクトについて



さて……この連載のお話をいただき、書きはじめてからもう11回目となりました。今回を含めて残り2回となりますので、しっかりと最後まで書かせていただきます!!

……とはいえ、もはや〈顔たち通信〉的な連載になってしまっているような気がしないでもないのですが……こうしてバンドの最新事情を毎月書けるくらいの活動をしているということですよ。バンドをやっている側としてはこれほど良いことはないわけですから!

前回はレコーディングの様子、さらに〈4月に何かが起こる〉と書きましたが、予定通りに起こっております。われわれチャン・ギハと顔たち、ニュー・シングルとなる〈チョッタマラッネ〉――〈ぬか喜びかよ!〉的な意味です――を3月末にリリースいたしました。われながらなかなかの出来だと思いますよ。これまでの顔たちの曲よりもロック色が強く、どこかスコンと抜けている感があります。もちろん、その抜け感を出さねば!!とがんばったわけですが。またこのシングル、実はちょっと意味のある企画での発表となっております。

※試聴はコチラで!!

某大手カード会社とのコラボ・シングルで、CDとしてのリリースはなく、主なダウンロード・サイトにも登録されておりません。そのカード会社のサイトからのみダウンロードができるという仕組みになっております。ちなみにダウンロードは当然有料なのですが、その値段をダウンロードする側……つまり消費者が値段を付けるという試みを行っているわけです。レディオヘッドなどがこれまでにやっておりましたが、韓国内でプロジェクトとして立ち上がったのはこれが初めてだということです。ですが、いまのところは韓国内のみダウンロード可能なようでして……残念!!

こんなプロジェクトがなぜ立ち上がったのか?というと、あのPSYさんの〈Gangnam Style〉の世界的なヒットがきっかけとなって注目が集まりはじめた、ダウンロード音源のアーティスト側に入る収入問題に端を発しています。あれだけ大ヒットしたにもかかわらず、アーティストに入る収入は微々たるもの……。他の国(UK、US、日本など)と比較した表に基づくダウンロードの金額などが報じられたのです。その差はかなりのものでした。

このような事態をダイレクトに問題提起するにはどうすれば良いのか――こうして立ち上がったのが本プロジェクトというわけです。題して〈白紙小切手プロジェクト〉。つまり聴き手が金額を書き込み、その金額をダイレクトかつ純粋にアーティスト側へ届けますということなのです。楽曲に感じた価値を金額で伝えるわけですから、もちろん無料もあり。

周りからは〈安かったらどうするんだ!〉とか〈ダウンロード数が少なかったらどうするんだ!〉といった意見も聞かれましたが、このタイミングでやらなければおもしろくない、やりましょう!!と引き受けました。成功しようが失敗しようが、われわれが〈多少名前が知られているインディー・バンド〉として、韓国ロックを少しでも変えてみたいという意味合いもあるのです。だから、失敗するのは恐くありませんよ!!――と、言っておきましょう(笑)。

さらにさらに、われわれは一大プロジェクトを企画いたしました。その企画とは……題して〈世界にぶつかっていくチャン・ギハと顔たち〉とでも言いましょうか。そのお話は次回に!!



PROFILE/長谷川陽平



韓国のバンド、チャン・ギハと顔たちのギタリスト兼プロデューサー。95年に韓国へ移住し、トゥゴウン・カムジャやサヌリム、ファン・シネ・バンドなどで活動。現在は他にもミミ・シスターズや美男美女の〈美男〉ギタリストを務めたり、若手パンク・バンドのLook & Listenのプロデュースなども手掛けている。いつもここでつぶやいてます→https://twitter.com/lghopper_Yohei