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THE STRYPES

連載
NEW OPUSコラム
公開
2013/04/24   00:00
ソース
bounce 354号(2013年4月25日発行)
テキスト
文/北爪啓之


ブリティッシュ・ビート熱ふたたび! 発火点は10代の少年だって?



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ポール・ウェラーがサポート・アクトに指名しただとか、ノエル・ギャラガーやジェフ・ベックがライヴを観に来ただとか、エルトン・ジョンが惚れ込んでマネージメント契約を買って出たとか、アルバム・リリース前から周囲はすでにお祭り騒ぎの様相を呈しているが、日本独自企画のこのプレ・デビューEP『Blue Collar Jane』を聴く限り、当人たちはいたってクールである。

ストライプスはアイルランド出身の平均年齢15歳という4人組。驚くべきは若さではなく、どこからどう聴いても初期ローリング・ストーンズやヤードバーズ直系の、黒くて猥雑でギラギラとしたブリティッシュ・ビートをブチかましているということだ。本EPは1曲を除きすべてカヴァーで構成されている。そのチョイスも先達が好んだウィリー・ディクソンやボ・ディドリーなど、苦みばしったブルースやリズム&ブルース、ロックンロールばかりという徹底ぶりに。

いわゆる最近のヴィンテージ・ロック勢はUSルーツ音楽と現行シーンとを相対化することで、そのレトロなサウンドをカウンター・パンチの如く繰り出しているが、おそらくストライプスの思考はもっとシンプルである。つまり〈ヤードバーズのあの音がカッコイイから鳴らしてみた〉といった、実に直感的な閃きと勢いがサウンドの随所から迸っているのだ。当時のバンドとの間に横たわる50年近いロックの歴史なんて10代の彼らにとっては知ったこっちゃないだろうし、この清々しいほど純心なティーン・ブラスト・ロックンロールを聴くうえでも、やっぱりそんなことはどうでもいいのである。



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