豆腐百珍フロム神戸! 奇才のCD棚と脳内が見えてくる新連載、爽やかにスタートです!
このたびbounce誌上で連載をすることになったtofubeatsと申します。まだ自分名義ではCDを一枚も全国流通していないのに(!)連載が決まったのですが、何とかがんばっていこうと思います。趣旨としては音楽をあんまり系列立てて聴いてない最近の若者らしく、最近買ったCDから前買ったCDまで、棚の隅から隅までざっくり解説していくというものです。ってもう初回から散らかってますが、どうぞよろしくお願いします。
1. TORO Y MOI 『Anything In Return』 Carpark(2013)
ハマ・オカモト氏が先月号の本誌連載で取り上げていたのにいきなり被せていきますが、これを(だって良すぎるから)。発売を楽しみにしすぎて、普段持ち歩かないほうの高級イヤホンとパソコン持参でタワー神戸店に赴きまして、購入直後に喫茶店で再生。まだ春にもなっていないというのに2013年ベストに挙げかけた名盤です。前作よりロウでチープでビートが効いているにもかかわらずポップさは倍増しており、よりパーソナルであるにもかかわらず外に向かったきらめきも。何より最後の“How's It Wrong”がもう。
2. 秋休み 『秋休み』 Ais/プロダクション・デシネ(2011)
そんな名盤を聴いてのエモい気持ちを、同時期により高めてくれていたのはこの一枚。韓国ではなかなか有名なグループらしく、リリース自体は2011年のものですが、遅ればせながら最近知りまして、ドカッとまとめて購入。とりあえず通して聴いたなかで、特にイントロから胸を強く締め付けられる曲があるなと思ったら、曲名(邦題)が〈時々狂おしいほど君を抱きしめたくなる時がある〉だってもう! 曲名勝ち!
3. 具島直子 『Magic Wave〜Naoko Gushima Best』 ビクター
ここまで聴いたら皆さんは、コーヒー飲みつつソファーから遠い景色を眺めて何かに思いを馳せているかとは思いますが、それに合うのはこちら。ベスト盤を挙げるとか反則っぽいですが、どのアルバムも良いんです。具島氏のか細い声と、桐ケ谷ボビー氏の流麗で切なく積みすぎないアレンジ、これが日本人の琴線に触れなかったら何が触れるんでしょうか。日々入れ替えたりする携帯音楽プレイヤーの中に唯一ずっと入っています。シャッフルでふと流れ込んでくる、日々生きるためのメロウな薬。
PROFILE/tofubeats(トーフビーツ)
90年生まれ、神戸在住のトラックメイカー。lyrical schoolや小泉今日子、YUKI、仮谷せいら、SNEEEZE、さよならポニーテールらの作品にてプロデュースやリミックスなどを手掛けている。直近では9nineのニュー・アルバム『CUE』(ソニー)にて“CANDY”をプロデュースし、フロウ・ライダー“Let It Roll”もリミックス。ERAをフィーチャーした最新のソロ名義曲“夢の中まで”は配信オンリーながら、4月24日にはいよいよ初のオリジナル・アルバム『lost decade』と、過去のリミックス仕事をまとめた『university of remix』を同時リリースする予定! 諸々の最新情報は〈www.tofubeats.com〉にて!