ロンドン在住のバンド・BO NINGENが、現地の音楽やアートにまつわるあれこれを紹介する連載! 第3回は、Akihide Monna(ドラムス)が4月に行われたメンバー個々のライヴ活動などをおさらい!
どうもこんにちは、ドラムスのMonnaです。
怒濤の日本ツアーからイギリスに戻ってきて早1か月。その期間に起こった出来事を綴っていこうかと思います。今月は主に5月のツアーに向けての新曲作りをメインに据えて動いていますが、その間にあるメンバーそれぞれの別の活動などを。
4月4日 BO NINGEN
ディングウォールズにてライヴ。ロンドンに戻ってきて初のヘッドライン・ショウということもあり、われらの意気込みは並々ならぬものでしたが、それ以上にオーディエンスの熱量に圧倒。〈おかえり〉と言われているようで嬉しかった。そして筋肉痛……。
4月5日 Devilman
ベースのシゲル・イシハラ(a.k.a DJ Scotch Egg、シーフィール)、トラックメイキング/ライヴ・ダブ・ミックスなどを手掛けるGorgonn (Dokkebi Q)、そしてヴォーカル・Taigenの3人から成るユニット。サウンドの特徴の一つである、終末論的な凄まじいベース音によって、会場であるカフェ・オトの瓶、グラスの類いは恐れをなすかのように共鳴。そこで、この音はどれほど遠くまで聴こえるのだろうと思い立った自分は、演奏中に失礼かとは思いながらも会場を出て確かめに。すると、街中であるというのに50mは離れた大通りまでその音は轟いていた……。さらにその音へ導かれるように、会場へ向かう2、3人の若者を目撃。音に磁力を感じた瞬間でした。
4月5日 GRIMM GRIMM
その同じ日、自分は別の会場で元スクリーミング・ティー・パーティのコウイチ・ヤマノハくんのバンド、グリム・グリムのサポートとして叩いていました。考えてみると、彼とはBO NINGENのメンバー以上に長い付き合い。彼がいなかったら自分はロンドンにいなかったかもしれないし、いまのレーベルとも契約していなかったかもしれません。盟友です。感慨深い。
4月6日&22日 Xaviers
キーボード&パーカッションのケンイチ・イワセ(元クローム・フーフ)と、ギターのYuki、ドラムスの自分から成るインプロヴィゼーション・トリオ。22日のコルシカ・ストューディオスは、われわれがお気に入りのライヴハウス。音、照明、そしてオーナーの人柄も含めてすべてが素晴らしい。
4月23日 クマ・ハラダ氏のスタジオにて
小林啓子さん(Taigenのお母さん)のレコーディングに、BO NINGENとして1曲参加することになってスタジオへ。エンジニアは数多くのプロデュース、そして世界的なベーシストとしても知られるクマ・ハラダ氏。お二人は10代の頃からの旧知の仲だそうで、そのレコーディングもとても自然なリズムで行われていて素敵でした。イギリスと日本のレコーディングの仕方、人間性の違いや偉人たちと共演した時のことなど、おもしろくてためになるお話が満載でした。
その他にも、25日にレーベルメイトであるハープ奏者のセラフィーナ・スティアのライヴにKohheiがギターで参加しました。
4月26日 AMANNAZOTHA
〈アマナゾーサ〉という演目で、田中眠氏に師事した経験もあるパフォーマンス・アーティストのニッサ・ニシカワと共演しました。舞踏と括られる様式で言葉や音から引き出される動き、その動きから引き出される音、その応酬が生む感情や思考が情念へと昇華し、消失――そんなパフォーマンスの音の部分を担当しました。他の出演者は元セルフィッシュ・カントのマーティン・トムリンソンや、ブライアン・イーノとの共演歴もある作曲家のイブ・オケなど。自分は〈メディスン・マン(呪医)〉の役柄で音を付けることに。2010年に彼女のパフォーマンスで参加以来数回行っています。
そして、5月にはシングル“Nichijyou”にゲスト・ヴォーカルとして参加してくれたジェニー・ベス率いるサヴェージズとのコラボレーション。
6月にはオノ・ヨーコがキュレーターを務める〈メルトダウン・フェスティヴァル〉への出演が決まり、ティム・ノーブル&スー・ウェブスター制作のアニメーション(僕らの髪の毛を素材に作られた)を映写しながらの演奏もあります。
こういった、音楽のジャンルと言われるものを超えた関わり合いや、音楽以外の繫がりのなかで紡ぎ出される何かが、われわれBO NINGENに新しいインスピレーションを与えてくれているんだと思う今日この頃。もちろん変わらず好きな音楽、偉人たちから授かるものも多大ですが。
またこれらの人々、これから関わってゆく人々は、感性の享受/共有という意味でわれわれを構成する要素でもあるわけで、そういう意味で自分たち自身に置き換えられる存在でもあるわけです。そこで真摯な態度を持って接し、お互いを高め合って高次な物事を成し遂げていく――そんな姿勢であり続けたいなと。偏った見方にならず、フラクタル的な観点で、小さく見えることにも平等に接せられるようでありたいなと。
そして、これからもサイケデリックの可能性をもっと追求していければと思います。その多彩で極彩色な大きい器の中で、ライヴも私生活も過去も未来も人も自分も有機的に織り交ぜながら。
もう少しでBO NINGENのUKツアーが始まります。新曲を引っ提げて怒濤の如くライヴが敢行されるわけですが、きっとわれわれ4人でいままで見られなかった、違った景色を見れるよう突き進んでいきます。
PROFILE/BO NINGEN
Taigen Kawabe(ヴォーカル/ベース)、Kohhei Matsuda(ギター)、Yuki Tsujii(ギター)、Akihide Monna(ドラムス)から成る4人組。2006年、ロンドンのアートスクールに通っていたメンバーによって結成。2009年にアナログ/配信で発表した『Koroshitai Kimochi EP』が現地で話題となり、〈Offset Festival〉をはじめとした地元メディアからも注目を集め、UKツアーのみならず、日本盤の発表後は日本でのツアーも成功させる。2011年にミニ・アルバム『Henkan EP』をリリース。最新作となるセカンド・アルバム『Line The Wall』(Stolen/ソニー)の日本盤も大好評。文中にある通り、UKツアーやフェスへの参加などが予定されています。最新情報はこちらのサイトでチェック!