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【第21回】――ブルーイ

連載
ハマ・オカモトの自由時間
公開
2013/06/12   00:00
ソース
bounce 355号(2013年5月25日発行)
テキスト
構成/編集部


ハマ・オカモト先生が聴き倒しているソウル〜ファンクを自由に紹介する連載!



【今月の課題盤】BLUEY 『Leap Of Faith』 Dome(2013)

前回、MUROさんに紹介していただいた『ELEGANT FUNK MIXED BY MURO』は、以前この連載でライト・オブ・ザ・ワールドを取り上げていたのをきっかけに選んでくださった……という経緯があったり、またMUROさんが最近聴いた作品で良いとおっしゃっていたのがそのライト・オブ・ザ・ワールド〜インコグニートの中心人物、ブルーイのソロ作『Leap Of Faith』ということもあり、今回はこの作品を紹介したいと思います。とにかく流した瞬間から超80s。ベースの音がまるでマーカス・ミラー(80年代からルーサー・ヴァンドロスやマイルス・デイヴィスら数多くの大物のバックを務めている)じゃん!みたいな。そんなことを思いつつライナーを読むと、まさに当時ブルーイは彼と仕事をしていたらしく、そのアメリカ滞在時に足を運んだクラブでかかっていた音楽に影響されたんだそうです。つまりここでめざしたのは80sサウンドだと。自分が想像したまんまのコンセプトでちょっと笑ってしまいました(笑)。でもそれをちゃんと体現できているのはやっぱり、当時第一線でやっていた人だからこそだなと思う一方、音自体は新しいんです。80年代にはなかった音圧みたいなものがあるんですよ。レコーディング技術が進化してもなお芯が崩れていないというか。時代の音っていうのは、その年代の楽器じゃないとなかなか出ないものなので、その楽器が出す音の変遷で生まれる音楽も変化してきていると思うんですよ。だからこのドンピシャな80s感を2013年のいま感じさせているというのは流石。MUROさんレコメンドなだけあります。

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パーマネントあてました

グループでは彼が歌うことはほぼありませんが、本作では全編通して歌っています。聴いてて気持ちいいですね。特にリズム・セクションに重きを置いてる80sサウンドの、あまりロウが出ていないタイトなベース音と硬すぎないスネアっていちばん聴きやすい。〈お洒落(笑)〉って感じ。何と言うか、〈ダサカッコイイ〉んですよ。アシッド・ジャズも通過した人だし、下手するとダサくなりがちなんですけど、いい塩梅のギリギリな……(笑)。こういうのってその境界線にいてナンボ、みたいなところがあると思うんですよ! MUROさんがオススメしていたのも、〈すごくイイとこ突いてるな〉っていう意味ではないでしょうか。そのギリギリ感がわからなくても、今後いろいろ聴いていけば〈なるほどな〉と思うようになりますから、そういう意味でもナイスなアルバムです。初期の久保田利伸さんが好きな人などは完全にハマるのでは? そんな〈抜け感〉がいいですよね。

 

PROFILE/ハマ・オカモト



OKAMOTO'Sのヒゲメガネなベーシスト。最新作『OKAMOTO'S』(ARIOLA JAPAN)が大好評! 7月31日にはニュー・シングルをリリース! またハマ個人では星野源や赤い靴の作品に参加しています! 最新情報は〈www.okamotos.net〉へGo!