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ひよこNo.57 挫・人間

連載
ROCKひよこ組
公開
2013/06/19   00:00
ソース
bounce 356号(2013年6月25日発行)
テキスト
文/タマコ


タマゴからかえったばかりのロック・バンドが登場!



挫人間_A



みなさ〜ん、コ〜ンニチハ〜☆ タマゴからかえったばかりのロック・バンドが集まる〈ROCKひよこ組〉担任のタマコです。蒸し暑いね! さて、今回のひよこちゃんは、初作『苺苺苺苺苺』(redrec)を発表した挫・人間です☆ 「ゲームしかできないただのデブ(当時80kg以上)として迫害を受けてた」(下川諒、ヴォーカル:以下同)という少年時代、これじゃモテない……と悟った時にUKのパンク・バンドに出会う——ここが挫・人間の原点だそう。

「どうやら下手でもカッコつくし、モテるっぽい。パンクとは弱者の音楽で、過激で下品なようでメチャクチャ美しい! これならできる!と。僕のルーツはそりゃもう筋肉少女帯、大槻ケンヂ様です。アングラで気持ち悪いとか、バカなコミック・ソングみたいなのもあるけど、僕は、彼をバカだと思う奴はバカのふりをして踊らせてる彼にバカにされているぞ!と感じて。それがすごくカッコ良く思えたんです。サウンドも好きですが、それ以上に大槻さんが書く詞の世界にすごく惹かれました。たぶん僕がこれまでいちばん聴いたアルバムは大槻さんのソロ作『I STAND HERE FOR YOU』です」。

そのDNA、息づいてます! ギターが歪みまくったパンクなど猥雑な音をバックに、下川くんの初恋(時に怒り)の激情が歌&語り&叫びでぶち撒けられます。メロディーだけならNHK「みんなのうた」風な“ちんちん大臣”(サウンドの展開は壮絶)など幼稚園児も大喜び系のキャッチーな曲も飛び出したりと、もう一筋縄ではいかない!

「ポップに!って意識はしてるんですけど、素直にポップなことをやるのは自分的に無理だと思った時、笑えることはポップだ!と思って。だから、このアルバムも笑える部分があると思うんですけど、伝わるかなあ。“ちんちん大臣”は下北沢とかにいるモテるバンドに対して不満があって……鬼の形相で作りました。妙な展開になっているのは只事ではない怒りを表現してます」。

そうか……タマコはそんなキミが好きだよ。そんな壮絶さのなか、ラストでは沁みる曲も聴かせちゃうんだからニクイ! では挫・人間の野望は?

「世界平和ですね。それから僕が筋少を聴いた時に〈僕が歌ってる!〉と思ったように、この世に存在するはずの僕みたいな奴……というか〈僕〉に聴いてほしいです」。

世界平和と〈僕〉のためにがんばれ! ではまた次回☆



ひよこ組のおともだち



YOU SAID SOMETHING 『YOU SAID SOMETHING EP』 FABTONE

札幌の男女混合3人組の自主制作EPが全国流通開始。ギター、ドラム、トイピアノ(たぶん)などによるサウンドはローファイ感に溢れ、ちょっとヴェルヴェッツっぽい耳触りもあります。合唱もファニー!

 

ポテコムジン 『効率のいいあきらめかた』 妥協

〈格好悪いふられ方〉みたいな(語感だけ)? もちろん千里っぽさはない3人組です。言葉にするのは難しいですが、ZAZEN BOYSをすごく軽薄&ダンサブルにした感じ。ディスコ・ファンク風チューン“ポップソング”がカッコイイ!

 

AIR SWELL 『THE ART OF PSYCHO』 イノベーター

レイヴィーなシンセを交えたFear, and Loathing in Las Vegas風、ドラムンベースなどを取り込んだミクスチャー仕立て、メロディック・スピード・メタル×ダンス・ロックとか……。おもしろいですね。ガンバレ四国の3人組!

 

turkish van 『瑪瑙の9』 middle east

タイトルは〈めのうのきゅう〉と読むそうです。表題曲のイントロこそメタルコア風でしたが、八十八ヶ所巡礼(共演経験ありとか)にも通じるガレージ・ロックやハード・ロック寄りのサウンド。そこにV系を彷彿とさせる耽美な旋律&歌が……。