アーティストが各テーマに沿ったお皿(CD)を紹介する連載! 倉内太が、愛しているからこそ言いたくなる〈こいつバカだー〉盤、聴くと爆笑してしまう盤を紹介します! なんとなく鬱々した時、飽き飽きした時、笑えなくなった時にどうぞ!
高田渡 『高田渡、旅の記録 上巻』 アルタミラ
静かな歌で踊りたくなり、
タブーな話を聞くと笑えて、
楽しい話じゃなくても笑える。
例えば昔の漫才とかを見ていると、死をテーマにしているネタが多く見られます。
お年寄りは〈もう棺桶はすぐそこ〉なんて言われると爆笑していて。
もう自然な光景ですが、よくよく考えると不思議なもので、
お年寄りが死をネタに笑っている。
死に不安がないわけじゃないんだろうけど、そんなこと言っててもしょうがないし、
みんな同じなんだから、もう笑い飛ばしてしまえばいい。
今日は笑おう、ダハハハハハ
みたいなの。
死で笑いを取ってしまう芸人さんは偉大だと思います。
高田渡さんの歌を聴いていても同じような感覚があります。
貧しいことを笑えるように歌えばいいし、
言いづらいことは言いづらいまま歌えば笑える。
僕がアコースティック・ギター一本でライヴをやっていて感じるのは、
音が小さいからお客さんの協力が必要だということ。
お客さんが優しく耳を澄ましてくれることが必要で。
空気を作っているのは演奏している人だけではない感じがして楽しいのです。
小さい音だから笑いたくても少し我慢しなきゃいけない雰囲気があり、
踊りたくなっても踊りにくい。
そのくすぐったくて気まずい雰囲気が好きです。
なかなか他では味わえない。
でもその我慢を超えたところにある踊りや笑い声、
我慢できなくて溢れちゃうとその動きは演奏者にも届く……
そうするとどんどん熱は上がる。
『高田渡、旅の記録 上巻』はライヴ録音。
渡さんの演奏とその会場の空気が生々しく感じ取れます。
(これ、笑って良いのかな? ダメなやつかな、我慢しないと……あ、誰か笑った! 私も笑っちゃお)
アハハハハ
笑い待ちをして、また歌い出す渡さん。
お酒がなくても酔っ払ってしまいそうな作品。
アコースティック=くすぐったい
PROFILE/倉内太
83年、埼玉生まれのシンガー・ソングライター。2005年よりバンド活動を開始。2008年に倉庫内作業員のアルバイトに採用されたことがきっかけとなって意欲的に曲作りを始め、弾き語りライヴも行うようになる。2009年に自主制作でファースト・アルバム『倉内太と彼のクラスメイト』をリリース。2012年5月に倉内太&ネイティブギターを結成し、バンドでのライヴ活動もスタート。2012年9月に店舗限定でシングル『LIKE A RHYTHM GUITAR』を、11月に初の全国流通盤となるアルバム『くりかえして そうなる』を発表。そして今年5月にセカンド・アルバム『刺繍』(DECKREC)をリリースしている。 今後の予定は、7月28日(日)に行われる下北沢・風知空知で〈倉内太2ndアルバム『刺繍』発売記念演奏会 vol.2〉をはじめ、相変わらず精力的にライヴが決まっております! その他最新情報はこちらのサイトでチェック!