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Decca 20世紀の音楽シリーズ

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o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2013/09/12   18:00
ソース
intoxicate vol.105(2013年8月20日発行号)
テキスト
text:小沼純一


コレクションにはもってこい! ユニバーサルのお宝音源が美しいパッケージで再発売

ベートーヴェンの後期からドビュッシーの初期までが19世紀だと捉えるとわかるように、いつの時代だって、1つの世紀、100年という幅はかなり広い。20世紀はなおのこと、さまざまな音楽が生まれ、スタイルが現れては消えていった。

ユニヴァーサルは老舗の会社だし、複数のレーベルを持っているから、あるラインナップを企画しようとすると、なかなかおもしろいことになる。これまでも20世紀音楽のシリーズは幾つかあったように記憶するが、今年になってからのも、気になるものがならんでいる。

村上春樹『1Q84』に何度も登場するヤナーチェク《シンフォニエッタ》(マッケラスの指揮!)、アシュケナージの弾く、プロコフィエフの3つの《戦争ソナタ》、あるいはほとんど映画音楽のようなコープランド。あるいはアイヴズ。これらはさすがに「古典」の域だし、おなじ20世紀でも、イメージとしては現在からするといささか遠い。いや、それが悪いというわけではないが、21世紀も10年以上過ぎると随分客観的にみえるものだなとの印象が抱けるという意味だ。

そもそも入門としてのシリーズとして意図されているのではないだろうから、どの作曲家がいて、どの作曲家がないと目くじらをたてる必要もない。再発されたラインナップを楽しめるかどうかがポイントとなる。たしかに、ベルクやヒンデミット、コープランドのようにコンサートでも比較的ふれる機会のあるもの、あるいは何度も再リリースされているクレーメルによるグバイドゥーリナというのもあるが、貴重なものがまじっているので要注意。

たとえば、昨2012年に世を去ったヘンツェとカーターのアルバム。ヘンツェ《エル・シマロン》はかつて衝撃をもって迎えられた名盤。対してカーターでは1990年代の2作品が収録されている。またクセナキスのアルバムには1970年代に録音された《シナファイ》から、ウッドワード/アバドによる《キュクローブス》の90年代の録音まで4作品が。

あ、再発か、なんて安易に判断しないこと。大手だからこその「お宝」は、どんなときにひょっこり顔をだしてくるかわからないのだ。ほんとに。



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