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アンディ・ウォーホル展

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2014/02/21   19:00
ソース
intoxicate vol.108(2014年2月20日発行号)
テキスト
text:AYUO


アンディ・ウォーホルとの出会い

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僕は小学5年生の時にアンディ・ウォーホルと会った事がある。70年代の初め頃だった。60年代では自由で開放的で、様々な人の交流場として、銀色のアルミフォイルで包んだファクトリーという場所を仕事場にしていたが、68年以降新しい仕事場をオフィスと名づけ、ビジネス・アートと名づけたものをそこで作るようになった。そのオフィスに日本から来た映画監督の勅使川原宏と僕の母と一緒に行った。実験的な芝居小屋に入ったような感じだった。長いくるくるした髪の毛をした女装姿のホーリー・ウッドローンがテーブルの上に座り、口を大きく開けてけたけた妖怪のように笑っている。数人が窓の外にぶら下がっている。アンディはカメラを持って、ひたすら歩き回りながら来た人たちの写真を取っている。実は今から来るお客さんにパフォーマンスをやってやれと、前もって打ち合わせたものだった。

アンディは若い頃は自分の顔や姿に自信がなさそうなシャイな男の子だった。アーティストになった時、まず自分を変身させた。マーロン・ブランドのようなジャケット、サングラス、そして銀色のウィッグ。自分のキャラクターもアートとして作った。それは人はみんな気がつかずに演じている、という事に気がつく事から始まるのだと思う。

『アンディ・ウォーホルについて分かりたければ、書いた絵や作った映画と私の表面を見れば良い。そこに私はいる。その後ろには何もない』アンディ・ウォーホル(1968)

『僕の事を知りたければ、表面を見れば良い。僕はその後ろにいる。』 ルー・リード(1975)

この二つの言葉を見ると似ているが、語っている事は違う事が分かる。しかし、ルーはアンディの考え方をとてもよく分かっていた。『Songs For Drella』というアンディの人生と哲学をCDとコンサートにしたものを聴くと、ルーの歌詞からアンディの考え方が伝わってくる。アンディと話すだけで、人生のいろいろな事を学んだと語っている。グラム・ロックが始まった時代、濃いメークをしてロックンロールをやりだしたルーは「人は何にでもなれる。それをアンディから学んだんだ」と言っていた。これも人生の最も重要なレッスンの一つだと思う。

現在森美術館で現在開催されている回顧展では、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドとニコがファクトリーでリハーサルしているところを取った映像や、デヴィット・ボウイが初めて尋ねて、マルセル・マルソーの影響を受けたマイムをアンディ・ウォーホルに見せているところの映像が見られるのがうれしい。



ART INFORMATION


『アンディ・ウォーホル展:永遠の15分』

【会期】2/1(土)〜5/6(火・休)
【会場】森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
【音声ガイド】特別出演:菊地凛子



関連企画 INFORMATION

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『チェルシー・ガールズ』監督:アンディ・ウォーホル



『アンディ・ウォーホル映画回顧展2014』

ポップ・アートの旗手、アンディ・ウォーホル。
絵画、広告、デザイン音楽、思想、風俗などさまざまなカルチャーに大きな影響を与えたウォーホルの映画は、彼のシルクスクリ-ン作品とともに、当時の美術表現、映画表現に大きな衝撃を与えました。日本ではほぼ20年ぶりのウォーホルの代表作品13本による回顧展を開催。全てオリジナル・フォーマットである16ミリフィルムでの上映になります。映写スピードも当時のものを再現して上映します。
【会期】2/15(土)~2/28(金)
【会場】シアター・イメージフォーラム(東京・渋谷)
主催:イメージフォーラム