上段左→右:コレサワ、梨帆 下段左→右:女豹三姉妹、湯木 慧
女性は、さまざまな顔を持っている。ニコニコと笑っているあのコの感情が急に揺れて普段と異なる表情になったり、フワッとしているように見えるコの心が全くブレない凛とした強さをもっていたり。4月22日に行われた、インディーズ活動支援プロジェクト〈Eggs〉と、恵比寿天窓.switchによるコラボ・イベント〈スクランブル・エッグス〉に出演した4組の女性アーティストたちを見ている間、改めてそう感じる場面があった。
梨帆
[梨帆]
この春から大学に通い始めたという梨帆(リホ)がオープニングを飾った今回のイベント。先日の熊本地震の話題から、自身が東日本大震災で感じた閉塞感、地震のあった直後のいま歌うことへの迷いについて触れたあと、「歌で私の想いを伝えようと思います」と披露した石崎ひゅーいの“花瓶の花”のカヴァーは、人の心に寄り添うような優しい歌い出しから、力強さが徐々に加わり、1つの歌を通して未来が開けていく――そんな強さがにじみ出た演奏だった。Eggsにも登録がある“とりあえずチェックを着ればいいと思ってるあの人はキライ”でタイトルのフレーズがリフレインする毒っ気のあるサビを笑顔で歌ったり、パワフルな音色で攻める“ふざけんな”の終盤に、音をとめて「あなたのことですよ」と囁き会場をドキッとさせたりと、彼女の25分は瞬きすら許されない。個性的な音世界を持つ梨帆のステージが終わったあと、オーディエンスから盛大な拍手が起こった。
女豹三姉妹
[女豹三姉妹]
女性3人からなるユニット、女豹三姉妹は、全員がヴォーカルを務め、持ち楽器であるピアノ、バイオリン、ギターは、楽曲によって担当が変わるというユニークな構成のグループ。かなりインパクトがある女豹三姉妹というユニット名は、全員の動物占いの結果が黒豹であることに由来し、本物の姉妹ではない、とのこと。ポップでポジティヴな印象の“輝く明日へ”から、持ち前のキャッチーさ、3人の声質の違いを活かしたヴォーカル・ライン、ハーモニーの美しさまでしっかりとわかる仕上がり。少し切ない恋の曲で、ピアノのみで聴かせていく“ココア”は、パートによって歌い手が変わることで、曲に描かれた情景が鮮明に伝わってくるし、ラストの声の重なり方もドラマティックだ。アイドル・ユニットへの曲提供や、ソロ・ワークなど、さまざまな活動をしている彼女たち。今後の活躍に期待が高まる1組である。
湯木 慧
[湯木 慧]
続いて舞台に登場した湯木 慧(ゆき あきら)は、〈音楽だけに留まらない表現活動を。〉をテーマに掲げ、ソングライティングのほかにも、絵を描いたり、物を創ったりと、幅広く活動をする17歳。1組目の梨帆が歌った“とりあえずチェックを着ればいいと思ってるあの人はキライ”に応えるように、あえてチェックを身に着けステージに上がり笑いをとると、息切れしそうな速度で飛ばしながら“Coward”を歌い上げていく。客席に届くよう、まっすぐと前を見ながら、1人1人に届けるように歌い続け、歌詞の内容に合わせて変わる表情も魅力的。ギターをつま弾きながらスッと自分の世界に入っていく“傷口”や、生きることに対して込めた彼女自身のメッセージを真っ直ぐに歌う“74億の世界”など、意思の強い声で、伝えたい言葉を全身から発していた。ラストの“道しるべ”では、マイクを使わずに歌う場面もあり、観客が聞き入っている様子も印象に残る一幕だった。
コレサワ
[コレサワ]
この日のゲスト・アクトは〈Shimokitazawa SOUND CRUISING〉や〈見放題2016〉といったイベントへの出演に加えて、やなぎなぎへの楽曲提供なども行う、シンガー・ソングライターのコレサワ。甘さを含んだストレートかつキュートな歌声で、1曲目“笑えよ乙女”からぐいぐいと自分の世界へと惹き込んでいく。昨日できたという父親へ向けた曲や、キャッチーでポップなサウンドのなかに付き合う相手との価値観の違いを綴った“君のバンド”、〈大人の女シリーズ〉と銘打って歌う恋愛ソングなど、コレサワの楽曲は1つ1つが鮮明でドラマティック。途中サバサバと進めていく関西弁でのMCや、「手拍子はちゃんとして!?」と観客を煽っていく姿も印象的で、この日共演した梨帆をはじめ、男女問わずの人気の高さを改めて実感するステージだった。2月のWWWのワンマン後、「弾き語りでしっかりきいてほしい」「度胸試し」という理由から、弾き語りライブを増やしているという彼女は、6月に弾き語り企画を予定。女の子の気持ちや心の揺らぎを自身の目線で歌い多くの共感を得るコレサワの次なる展開も楽しみだ。
さまざまな色を放つ女性アーティスト4組の共演となったこの日のイベント。さまざまな視点から描かれる独自の世界観、表情、声色、楽曲――いずれも個性豊かで、見ごたえのある夜となった。タワーレコード、NTTドコモ、レコチョクの3社によるインディーズ活動支援アプリ〈Eggs〉がサポートする恵比寿天窓.switchのイベント〈スクランブル・エッグス〉、次回の開催は5月20日に予定されている。
(写真:鎌倉真希)
☆インディーズ活動支援アプリ「Eggs」の詳細はこちら
https://eggs.mu/
☆各アーティストの公式サイト、ブログ、Twitterはこちら
コレサワ: http://koresawa.jp/
梨帆:http://www.afterschool-music.com/riho/
女豹三姉妹:https://twitter.com/mehyo3shimai
湯木 慧:https://twitter.com/reo_guitar