トップ > JAZZ IT UP! キャンペーン 山中千尋インタヴュー
山中千尋
「はじめて聴いたジャズ作品は、北村英治さんのベニー・グッドマンの曲でした」
ベニー・グッドマン生誕100周年にあたる今年、山中千尋がそのオマージュ作を完成させた。ジャズ・ジャイアンツへのトリビュート作としては、オスカー・ピーターソンに捧げられた2008年2月リリースの『アフター・アワーズ』に続くものとなる。ところで山中千尋とベニー・グッドマン、その音楽的な接点は一体どこにあるのだろうか?
「最初は父が持っていた北村英治さんのアルバムでベニー・グッドマンの曲を聴きまして、それが私のはじめて聴いたジャズ・アルバムでもありました。編成は今回のアルバムと同じようにヴァイヴ、ギター入りのセクステットです。普段私がやっているビッグバンドがスイング・ナンバーをレパートリーにしていて馴染みがあったのと、あとはベニーの生誕100年という記念年ということもあってアルバムのテーマにしました」
アルバムは40年代頃のスイング・ナンバーのアプローチも交えつつ、斬新なアレンジよるベニー・グッドマンの代表曲や自身のユニークなオリジナル曲もそろう。
「名曲の《エア・メール・スペシャル》《ストンピン・アット・サヴォイ》のように私特有の、ちょっと風変わりな感じのアレンジになったものもありますが、基本的にはトラディショナルな編成で原曲の雰囲気を十分生かしながら、人間の肉声に近いクラリネットの可能性をすごくフィーチュアしたかったのです。6人のメンバーの個性を尊重し、私は舞台の演出家のような役割でのぞみました。《ストンピン~》は途中ムーグ・シンセのような音が入っていますが、元々は恩師の故ジョージ・ラッセルのオーケストラをヒントにしました。<宇宙時代のベニー・グッドマン>ということになったら良いかと」
オリジナルとしては《B.G》《G.B》というグッドマンの頭文字を冠したオリジナル曲もあり、《煙が目にしみる》などはかすかに聴こえる山中千尋のスキャット(?)が。
「《B.G》《G.B》はギターで作曲した曲なんですね。ピアノだと自分の楽器のせいか、指が勝手に動いてしまって、ギターを弾く時に出来るシンプルなメロディとは違ったものになってしまうのです。ちなみに今回のアルバムはレコーディングは一部屋で全員で行ったので、私がピアノ弾きながら、口ずさんでいる声を横のベースのマイクが拾ってしまったようです。全ての音が被って録音されているので修正も出来ず、そのまま声が入っています」
いにしえのスイング・サウンドを再構築したBG集、叶うならば宇宙で聴きたいかも。
INTERVIEW&TEXT : 馬場雅之(タワーレコード本社)
ランニング・ワイルド
[ユニバーサル UCCJ-2077] 10/7発売
LIVE IN TOKYO TOUR 2007 SUMMER
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