大ヒット・シングル「ポリリズム」「Baby crusing Love/マカロニ」を含む、Perfumeのセカンド・アルバムです!ライヴでお馴染みの「チョコレイト・ディスコ」をはじめ、ポップでキュートなテクノ・サウンドがたっぷり楽しめます♪もちろん、中田ヤスタカ(capsule)によるプロデュース。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
わたしが子供の頃は〈ゲームばっかやってるとアホになるわよ!〉とか言われたもんですが、昨今はどうなんかね。少なくとも、昔ほど害悪的で特別な行為とは見られてないように思います。で、これ以上ない好機でニュー・アルバム『GAME』を発表したPerfumeの話。多くの人が喰らったであろう出会い頭のキッチュな衝撃とかヘンテコなギャップも、いまや異物感や違和感なく普通のものとして受容されているはずです。それはチープな衣装でひたむきに踊っていた3人の美しさをもう思い出せないほどのスピードだからして、もはや彼女らの有り様やスタンスをあれこれ斜めから論じる時期でもないでしょう。何より、この『GAME』には彼女らの〈いちばん大切なもの〉、すなわちガチでクォリティーの高すぎる既発の5曲+フレッシュな書き下ろしの7曲が普通に用意されているのですから。ダフト・パンク“Something About Us”に着想を得たような“マカロニ”を年頭のシングルで聴いた時には、今後はもっとヒューマンな風情も見せていくのかと思いましたが、結果はそれも踏まえたパーフェクトな仕上がり! Perfume節と呼ぶべきメロディー運びが披露される“セラミックガール”や“シークレットシークレット”と、歌をアリバイにした中田ヤスタカ節のディストーション・ディスコが痛快に共存していて、素直に良い曲ばかりなのです。で、素直に良い曲だけで出来ているアルバムというのがそう多くないということに、いろんな人は普通にショックを受けるべきとでもいうか……。
bounce (C)出嶌 孝次
タワーレコード(2008年05月号掲載 (P64))
〈Perfume現象〉と言ってもいいほど爆発的に認知を広げた3人の、トータル・プロデュースされた初のアルバムが『GAME』だ。作詞/作曲すべてを中田ヤスタカが手掛けたことにより、統一感をグッと増した作品となっている。彼の特徴である、フィルター使いのヴォーカルに粘りのあるブリンブリンのベースと太めのキック音を合わせる手法は健在。一方で歌声からエフェクトを外した“Take me Take me”、バックの音をバンド・サウンドにした“Puppy love”など、手法の違いを逆手に取るような曲をアクセントにしている部分からも、策士・中田の含み笑いが見えてくるようだ。立ち位置もわからぬままに周りが大きく変化していく、その加速度にPerfumeがついて行けるのか?という不安もあるにはある。しかし、いま彼女たちを取り巻く状況が〈現象〉として捉えられている理由、本人たちはアイドルをやっているつもりでありながら中田はいわゆる〈アイドル・ソング〉を作っていない――演る側と演らせる側の音楽的な認識に大きなズレがあり、そのズレがずっとキープされているからこそ生まれる奇妙なおもしろさ、刹那的な魅力に世間は惹かれているのだ。あらゆる行為が〈ネタ〉の一言で済まされ、半笑いで処理されがちな現代、彼女たちが(ある意味では)無知を武器にして、プリミティヴにアイドルを演じている姿は、どう見てもラディカルである。本作は〈YouTube〉を通じて名を広めたユニットが日本で出した作品のなかで最良のものと言い切ってしまいたい。それはアイドルそのものの見られ方が変わる、その決定打となるはずだからだ。
bounce (C)ヤング係長
タワーレコード(2008年05月号掲載 (P64))