2008年4月に発売された「E=MC2~MIMI第2章」に続く、通算12作目となるスタジオ・レコーディング・アルバムが完成!楽曲の多くは、マライア、ザ・ドリーム、トリッキー・スチュワートの共同プロデュースによるものになっており、エミネムの「バグパイプス・フロム・バグダッド」のアンサー・ソングとしても注目されている、ファースト・シングル「オブセスト」もこの3人のプロダクションになっている。
---
タワーレコード
“アルバムからのファースト・シングル「オブセスト」は、本当に一番のお気に入りの曲よ。この曲に完全にはまっているわ。みんなが聴いてくれるのが待ちきれないわ。愛を込めて。” …マライア・キャリー
---
タワーレコード
再婚後初のアルバムは、幸せいっぱいのアッパーな作品になるかと思えばそうではなくて、クラブ・バンガーはエミネムをおちょくった先行シングル“Obsessed”くらいのもの。あとはミディアムからスロウ・ジャムがメインという、統一感のあるラヴソング集となった。複数のプロデューサーと組んでいたはずだが、結果的にはトリッキー・スチュワートとドリームのみに絞り込んだのが吉と出た。特に後者はクリスティーナ・ミリアンと再婚したばかり。そんな新婚ムードがマライア自身の状況と上手くマッチしたのかも。アルバムのコンセプトは過去の自分の恋愛経験を振り返るというもので、たっぷり苦い思い出も含まれているのだが、全体を包み込んでいるのは柔らかい視線。まるで遠い昔を思い出しながらフォト・アルバムをめくっているかのように心情は穏やかだ。リプライズやインタールードなど構成へのこだわりもハンパじゃないが、それでいて重厚にはならず、フワフワと雲の上を漂っているかのように軽やか。ドリーミーで甘美なランデヴーが繰り広げられる。30代も最後、ギリギリセーフで駆け込んだ愛の楽園。聴いているだけで、幸せのお裾分けに預かれそうだ。
bounce (C)村上ひさし
タワーレコード(vol.315(2009年10月25日発行号)掲載)