ドリーミーでサイケデリックなポップで体感する、ウルトラ・ハッピーな浮遊空間!ファースト・アルバムが、英NME誌をはじめ欧米や日本のメディアでも絶賛された、NYはブルックリン・ベースのエレクトロ・ポップ・バンド=MGMTのセカンド・アルバム。 (C)RS
JMD(2010/12/02)
2008年最も目覚しい活躍を見せた米バンドの驚異的注目のセカンド!英NME誌をはじめ欧米や日本のメディアでも、年間No.1アルバムに選ばれまくり、世界中で大絶賛されロングセラー化しているデビュー・アルバムに続く、超注目のセカンド・アルバムが遂に完成!共同プロデュースにソニック・ブーム、ゲスト・ヴォーカルにロイヤル・トラックスのジェニファーの名も。ベック、ジェイ・Z、ビヨンセ、ノエル・ギャラガー(ex.オアシス)、ファレル・ウィリアムス、M.I.A.、ポール・マッカートニー、ウィーザー、ケイティ・ペリー、木村カエラ、難波章浩などなど、実に幅広い著名ミュージシャンから熱い支持を受け、DIPLOやジャスティス、ソウルワックス、ペット・ショップ・ボーイズ、スペースカウボーイ、80KIDZら、人気ダンス系DJ/アクトが、公式または非公式にMGMTのリミックスを次々と発表したり、多くのヒップホップ系DJミックス・アルバムにフィーチャーされたり。その他ファッション業界なども含め、各方面で大注目。
Sony Music
発売・販売元 提供資料
MGMT攻めてるよ!安易に前作を踏襲しない心意気は相当の決意かと。当然そこには理由があるようだ。前作『Oracular Spectacular』の狂騒は本人たちの許容を遥かに上回り、メジャー・デビューから2年経ったいまもその余韻が残るほどで。結局ポップ・シーンだけで騒ぎの収拾がつかず、ヒップホップ系ミックスCDの常連になるわ、“Kids”がイビザをはじめとするダンスフロアでアンセム化するわと本人たちをよそに大爆発。“Time To Pretend”でロックスターを揶揄していたのに、皮肉にも自分たちがスターになってしまう始末だ。その反動が、反抗とアイロニーが込められた新作『Congratulations』というわけで、自虐的なアルバム・タイトルに始まり、<シングル・ヒットは御免>とばかりにアルバム一枚を聴かせるべく腐心している。だから“Kids”級のアンセムはないのだけれど、爽快なサーフ・ナンバー“It's Working”、ブライアン・イーノに捧げた(?)パンキッシュな“Brian Eno”などMGMTらしからぬ曲があったり、後半に盛り上がるドリーミーなサイケ・ポップ“Someone's Missing”やラストをしっとりと美しいメロディーで締め括るタイトル・ナンバーのような聴くたびに味わいが増すものなど、曲のヴァリエーションが豊富で楽しい仕掛けが満載だ。そのあたりは共同プロデューサー、ソニック・ブームの貢献もあるのだろう--何てことを考えつつ何度も聴いていると、やっぱりシングル・ヒットが生まれそうな気が。彼らには気の毒だけど……。
bounce (C)青木正之
タワーレコード(vol.320(2010年4月25日発行号)掲載)
賛否両論に分かれる問題作! というのは大袈裟かもしれないけれど、MGMTの2人が新作『Congratulations』で勝負に出たことは間違いない。本人たちにも予想外の成功を収めたデビュー・アルバム『Oracular Spectacular』の後追いはせず、彼らはより作家性を際立たせる方向へとシフトした。まず本作の共同プロデューサーとして元スペースメン3のソニック・ブーム、ゲストには元ロイヤル・トラックスのジェニファー・ヘレマと、2人が以前からリスペクトしていた面々を起用。とりわけシューゲイザー・サウンドをエクスペリメンタルな領域に広げたソニックの起用は興味深い。さらに前作のプロデューサー、デイヴ・フリッドマンはミキサーとして引き続き参加するなど、サウンド面は相変わらず凝りまくっている。ただ前作のようにダンサブルなグルーヴは抑えめで、今回はサーフ・ミュージックから混沌としたサイケデリック・ジャムまで、ロックンロールがベースだ。短い曲が浮かんでは消える長尺のナンバー“Siberian Breaks”や、後半の急展開が過激な“Flash Delirium”など、曲作りは<踊らせること>より<聴かせること>にポイントが置かれていて、前作以上に曲の良さが光っている。こだわるところはこだわりつつも、ざっくりとした生々しい手触りも残す、そうしたバランス感覚が絶妙だ。浮遊感に満ちていながらも、しっかり地に足が着いているというか、プレッシャーという大波を巧みに乗りこなしてみせた痛快な傑作!
bounce (C)村尾泰郎
タワーレコード(vol.320(2010年4月25日発行号)掲載)