アーティストとしてはもちろん、音楽番組の司会を務めるなど2011年も大活躍だった、Perfumeの約2年4ヶ月ぶりとなる4枚目のアルバム。『キリンチューハイ 氷結』のCMソング「レーザービーム」「GLITTER」「微かなカオリ」をはじめ、ヒット・シングル&タイアップ楽曲を満載した華やかな内容です! (C)RS
JMD(2011/11/24)
満を持して・・・・・・と言うよりは、待ちくたびれたよ!という人も多いだろう。『⊿』から実に28か月ぶりとなる、Perfumeにとって4枚目のアルバム『JPN』がようやくリリースとなった。その間にはツアーや初の東京ドーム公演があり、「カーズ2」や「モテキ」のような映画絡みのトピックや、さまざまなタイアップ、ダンスコンテストなどにまつわる露出もあったし、ある側面ではグングン飛躍していく3人の姿を眺めることはできたのだが、その完成された機能美が突き詰められすぎたせいで、ある種の冒険や破綻に焦がれる人も多いのではないだろうか。で、始めに言っておくと、そういう類いの破綻はない。毎度のことながら凄まじい安定感だ。昨年4月の『不自然なガール/ナチュラルに恋して』から直近の先行カットとなる"スパイス"まで、通算5枚のシングルから"FAKE IT"を除く計9曲(うち2曲は別ミックス)が収められた全14曲入り。『⊿』同様に序曲もあるから、まったくの新曲は4つということになる。その仕様をどう見るかはそれぞれの感想に委ねるとして・・・・・・結論を言ってしまえば、アルバム一枚を通して聴くと、その鉄壁ぶりにはやはり聴き惚れるしかない。積極的に接しなくても耳に入ってくる機会が増えたからか、断片的に耳の奥で放り出されていたフレーズが万全の流れで一気に立体化されてくる感じなのだ。まずハッとさせられるのは“GLITTER(Album-mix)"か。シングル版に比べてイントロから明快にNUXXな雰囲気が倍加されて、後半にかけて鍵盤も大暴れしていく。新曲では、一瞬〈これスマホのCMソングだった?〉と勘違いしそうになる新曲の"MY COLOR"も屈託のないキャッチーさが安心のPerfume節だろう。新曲だと“心のスポーツ"はピュアな雰囲気が快いし、ガーリーな“Have a Stroll"は少しNAMAIKIだったりもするが、そんなこんなも現在の3人にはよく似合っている。教授マナーも交えた“スパイス"での締め括りも幻想的でいい感じだ。で、やたら〈メール〉という言葉が耳に触れる歌詞は、基本的にはシンプルな恋心を描き続ける。大上段に構えたり煙に巻くような言い回しもなく、ある種の〈小さな物語〉が微笑ましく描かれているのは偶然じゃないのだろう。重い意味合いを持たせることもできるアルバム・タイトルに、軽やかな他愛のなさを盛り込んだ一作。この他愛ない安心感こそが、いまのJPNではなかなか得難いものなのだから。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(vol.338(2011年11月25日発行号)掲載)