チェリビダッケ生誕100年記念リリース!
ついにあの伝説の日本公演ライヴを含むブルックナー演奏がDVD化!
しかも完全未発表の第4番「ロマンティック」ウィーン・ライヴもCD化!
■セルジュ・チェリビダッケ生誕100年
今年(2012年)生誕100年を迎えるルーマニア出身の巨匠指揮者セルジュ・チェリビダッケ(1912-1996)。1979年、67歳で首席指揮者に就任したミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団を、長時間の徹底した厳しいリハーサルでドイツ随一のオケに育成し、極遅のテンポによって作品の細部と構造を浮かび上がらせる演奏によって、同フィルを世界でも屈指の存在に押し上げました。また「録音物は自分の演奏を正しく伝えるものではない」という独自の信念のもと、録音行為そのものを嫌悪し、それゆえにレコード録音をしない「幻の指揮者」として知られ、特にドイツと日本で高い人気を得ていました。日本文化の奥深さや熱心な聴衆を特に愛していたチェリビダッケは、1977年の読売日本交響楽団への客演以降、7回来日を果たしています。
■入魂のブルックナー演奏をDVD化
チェリビダッケがその晩年にもっとも頻繁に取り上げたのがブルックナーの交響曲でした。日本を含む世界各地への演奏旅行でも必ずブルックナーの交響曲をプログラムに入れることで、チェリビダッケ=ミュンヘン・フィル=ブルックナーの名は不可分のものとなったのです。1980年代後半から映像制作に積極的に乗り出していたソニー・クラシカルは、このコンビによるブルックナーの主要交響曲を映像収録してソフト化するプロジェクトを立ち上げ、録音を忌避していたチェリビダッケを説得し、1990年10月の日本公演に際して交響曲第7番と第8番を、1991年11月に地元ミュンヘンで第6番を収録しました。チェリビダッケがミュンヘン・フィルの首席指揮者に就任してからすでに10年以上が経っていたこの時期はまさにこのコンビの絶頂期にあたり、細部まで指揮者の意志が浸透し、緻密に磨き抜かれた究極の演奏が現実のものになっていました。その最上の成果を刻み込んだこれらの演奏は、収録から20年以上経った今もなお「世紀の名演」「音楽の世界遺産」と称するにふさわしいものです。1993年にはレーザーディスク(および海外ではVHSソフトとしても)ソニー・クラシカルから発売されましたが、1996年の再発売以降は廃盤となり、入手困難な状況が続いていました。日本からもソニー・クラシカル側に対して再三DVD化の要請を出していたにもかかわらず具体化することはありませんでしたが、今年生誕100年を機に、遺族の承認のもと、晴れて正式にDVD化されることになりました。グレン・グールドのCBC映像やホロヴィッツのDVD化を手掛けたベルリンのb-sharpスタジオで映像・音声のマスタリングとオーサリングが行われています。
ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2012/04/06)
■幻の交響曲第4番「ロマンティック」の未発表録音CDを追加
さらに今回のボックス化に際しては、これまでどんな形でも発売されたことのない交響曲第4番「ロマンティック」をDISC4+DISC5にCD2枚組で収録しています。これは1989年2月、ウィーン・ムジークフェラインザールでの演奏会をソニー・クラシカルが収録したもので、生前からその存在は知られながら、これまで未発表だった幻のライヴ録音です。演奏時間は I.=22:34 /II.=18:17 / III.=11:17 / IV.=31:42で、トータルが83:50となっており、EMIから正規盤として1996年に発売された1988年10月のミュンヘン、ガスタイクでのライヴ(I.=21:56 / II.=17:34/III.=11:03 / IV.= 27:52 TOTAL=79:12 )よりもトータルで4分以上長く、それゆえ収録にCD2枚を要しています。これはおそらく残響の豊かなムジークフェラインの音響効果を考慮してのテンポ配分と思われ、30分を超える巨大な造形によるフィナーレでは、極遅のコーダで管のコラールを支えるチェリビダッケ独特の弦の刻みに施されたアクセントがどう実現されているか、期待が高まります。収録担当はトリトヌスの名コンビ、シュテファン・シェルマンとアンドレアス・ノイブロンナーです。
■第6番=チェリビダッケ生涯唯一の演奏
交響曲第6番は、1991年11月下旬にミュンヘンのガスタイクで行われた4回の演奏会で収録されたものですが、これはチェリビダッケがこの交響曲を取り上げた生涯唯一の機会でした。それゆえにEMIからも同時期の演奏会でのライヴが正規盤としてCD化されており、録音データによると、ソニー・クラシカルの映像は、4日間連続で行われた演奏会から編集され、EMI盤は4日間のうち初日を除く3日間の演奏から編集されていることになります。大作第5番と第7番に挟まれ、高原を渡る涼しい風を思わせるこの美しい交響曲から、スケール雄大な響きを引き出しているのはさすがチェリビダッケ。テンポはチェリビダッケのブルックナーとしてはそれほど遅めのテンポをとっているわけではありませんが、それでも22分をかけた第2楽章での第3主題の哀切な響きは他のどの演奏からも聴けないものです。収録にあたってのビデオ・ディレクターはロドニー・グリーンバーグ、オーディオ・プロデュサーは元DGの名プロデューサーで、ピアニストとしても知られるコード・ガーベンです。
ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2012/04/06)
■第7番&第8番=伝説のサントリーホール・ライヴ
1990年10月、東京サントリーホールでNHKとの共同制作としてライヴ収録された交響曲第7番と第8番は、映像収録にあたってチェリビダッケ本人から「指揮者とオーケストラのメンバーとの人間的、音楽的なコンタクト、そして対話がいかに大切かということが映像でもはっきり表現されなければならない」などと具体的な映像演出の指示があったことが知られています(第8番のビデオ・ディレクターだった天野晶吉氏の回想による)。音楽的な流れと演奏会の緊張感とを見事に具現化し、演奏終了後に手を合わせて祈りを捧げるチェリビダッケの真摯な姿をもとらえた映像は、収録直後にNHKでも放映されて大きな反響を巻き起こし、日本におけるブルックナー指揮者としてのチェリビダッケのイメージを定着させることになりました。もちろんチェリビダッケのトレードマークでもある気合の入った掛け声も随所で聞かれます。第7番には4年後の、第8番には3年後のガスタイクでのライヴがEMIから正規盤として発売されていますが、サントリーホールに美しく響きわたる音像をとらえたこの東京ライヴの方が全体の流れがよく、緊張感の持続が見事です。またこの第8番の演奏は2010年にNHK収録音源からAltusレーベルによってCD化されて大きな話題となりました。
■初出盤ライナーノーツより
第6番=「チェリビダッケの精密な指揮ぶりと燃焼温度の高い白熱した演奏のオーケストラの表情とを克明に収めた、待ち望んだ映像」(石田一志氏)
第7番=「それにしてもなんという思い入れのある優しさであり、リリシズムであろう。ブルックナー演奏には禁忌のポルタメント奏法もここでは効果を上げ、なつかしくも人恋しい歌を歌いぬき、それが聴く者の心を満たし、通り抜けていく。(・・・)チェリビダッケは完全に音楽の中に浸り切っており、1ヶ所としてストレートには進まず、十分な間を保ってあふれんばかりのハーモニーを創造、ときには後髪を引かれ、先に進むのがいやなように遅いテンポで停滞する。その思い切った心の込め方が音楽にぴったりなのだ。」(宇野功芳氏)
第8番=「ブルックナーが最晩年に到達した深淵と、チェリビダッケの超俯瞰の美学とが不可分な形で結び付き、稀にみる名演となったのだ。(・・・ミュンヘン・フィルも)奏法が統一され、量感も抜群な弦セクション、ソロ・プレイもハーモニーも完璧な管セクション、そして打楽器と、どこをとっても穴がなく、しかも無機的な音響になっていないところが凄い。技術的にベルリン・フィルやシカゴ響に比して少しも遜色がないばかりか、ブルックナーで最も重要な質感の統一ということに関しては、明らかに上回っていると思う。」(金子建志氏)
ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2012/04/06)
見て大変がっかり。おそらくLDがソースになった映像で、画質が海賊版のよう。強い憤りさえ感じます。
生誕100年をあまりにバカにしています。ファンを蔑ろにしています。
こんなものなら発売しないで欲しかった。あまりに酷い。