志磨遼平(Vo)、丸山康太(Gu)、菅大智(Dr)、山中治雄(Ba)によるロック・バンド、ドレスコーズのファースト・アルバム。ファースト・シングル「Trash」(映画『苦役列車』主題歌)も収録された本作は、まだ誰も見たことも、聴いたこともないような次元に到達した、ロックの歴史の新たなる金字塔となる1枚。 (C)RS
JMD(2012/10/27)
先行シングル「Trash」も収録するこの作品は、まだ誰も見たことも、聴いたこともないような次元に到達した前人未到のロックアルバムの完成である。ドラムはブレーキの壊れたダンプカーの如く爆発力のあるプレイを繰り広げ、唸りを上げるベースと相まってこれ以上無いタイトかつソリッドなグルーヴを生み出し、エレクトリックギターは日本刀のような恐るべき切れ味と変幻自在のプレイを奏でる。ギターという楽器を超えた新しい楽器といった風情である。そのサウンドの上を志磨遼平の独特のボーカルとメロディが駆け巡る。キャッチーなロックチューンも一筋縄でいかない危険な輝きを放ち、ドレスコーズにしかできない前衛的な楽曲も随所に散りばめられている言わばロックが本来持っていた理想的なアルバム。ロックバンドに向かい風が吹くこの時代を鼻で笑うかの如く威風堂々の強靭かつ屈強な作品として、今後語り継がれていくであろう。ドレスコーズが歴史を塗り替えていく記念すべき第一歩である。
コロムビア
発売・販売元 提供資料(2012/10/01)
言うなれば、特に説明をするところがない作品だったりする。70sガレージ・ロック~パンクあたりに影響源がありそうだけど、だからといってそれがすべてではないし、曖昧なのは承知で〈至極真っ当なロック・アルバム〉という印象だから。ひとつ言えるのは、これがゆくゆくは彼らのマスターピース(のひとつ?)と呼ばれるに違いないということだ。冒頭曲“Lolita”でさっそく感じた、胸の奥から震えるような感覚にそれを確信したが、とにかくどの曲も衝動的で猥雑で、男臭くてロマンティック。サウンドも近からず遠からずなリバティーンズの初作に窺えた、言葉にならない凄みがある。そして何より志磨遼平がやりたかったであろう〈バンド〉で作ったアルバムという事実に、また別の意味で感動してしまうのだ。
bounce (C)加藤直子
タワーレコード(vol.350(2012年11月25日発行号)掲載)